「倒したくないなぁ…」と思ったゲームの敵キャラたち 「トラウマ展開に唖然」
倒すことで認めてしまう苦悩! 知らなければ良かった裏側も……

●何があっても倒したい! しかし、前に進みたくなかったあの戦い
続いてスーパーファミコン時代にも、「倒したくない敵」の思い出があります。『ドラクエIV』の時は複雑な感情が入り混じる戦いでしたが、ここで取り上げる『真・女神転生』は少々趣が異なります。
『真・女神転生』の主人公は、現代の東京にいるごく普通の少年。母親に小言を言われながらも、頼まれたコーヒーの買い出しはしっかり終わらせるあたり、良好な関係性が窺えます。
ですが、街中が悪魔に侵食されはじめ、平和な世界が音を立てて崩れていきました。その発端となるのが、帰宅後の母親との会話。さも愛情があるように話しかけてきますが、不自然さが否めず、違和感を覚えます。そんな主人公の態度に業を煮やしたのか、母親の姿をした悪魔は本性を現し、「お前の母親はいただいた」「腹の中で会わせてやる」と言い放ちました。
ありふれた、しかし唯一無二の愛情を主人公に傾けてくれた母親は、その最後を看取ることもできずにこの世を去っていた。その悲劇をもたらした悪魔に怒りが滾る一方で、「こいつを戦うのは、母親の死を認めることになるのか……?」と、理不尽な現実から目を背けたくなる気持ちも湧き上がります。
この悪魔自体に情けをかけるつもりは、微塵もありません。ですが、母親が死んだ場面を直接目撃していないので、嘘であって欲しいという思いも拭い切れません。いっそ、ここから前に進まなければ、この事実を受け入れなくてもいいのでは……という弱さを無理やり抑え込み、悪魔との戦いに挑んだことを今も覚えています。
●後から事情を知るも、この手はすでに汚れていて……
いくつかのハードな戦いを経験した結果、心が揺らぐことはあっても、大きく動揺するケースは少なくなりました。ですが、そんな慢心をしていた頃、『ニーア ゲシュタルト/レプリカント』というゲームにざっくりと胸を抉られてしまいます。
主人公の設定や作品全体を語ると非常に長くなってしまうので、本記事のテーマである「倒したくない敵」だけに的を絞りますが、その対象となる相手は本作の至るところに存在します。
マモノに脅かされるこの世界で、主人公は攫(さら)われた「ヨナ」(妹もしくは娘)を守るため、日々奔走します。その中で、ロボットとマモノのタッグや、人々を襲う狼の群れなど、さまざまな相手と戦いました。しかし、自分の想いだけで邁進できたのは、1周目のエンディングまで。本作は周回要素があり、プレイを続けると主人公サイド以外の事情が判明していきます。
例えば、人間たちに襲われて天涯孤独となったマモノが、遺跡にいるロボットと出会い、互いにかけがえのない存在になりました。主人公らと戦うのは、憎しみや敵対ではなく、それぞれを守り合った結果に過ぎません。彼らの側にも、戦うべき理由、譲れない気持ちがあったのです。
また人を襲った狼たちも、人間たちによる容赦のない狩りで仲間や子供を失っており、その喪失に苦しんでいました。確かに狼も、人を襲いました。そして、人間も狼を殺しています。どちらも加害者で、そして被害者でもある。そこに正義はなく、そして悪すらもありませんでした。
本作のラスボスにあたる「魔王」も、単純な善悪では割り切れない複雑な事情の持ち主。前述のデスピサロ以上に、主人公と魔王の距離は近く、しかし決して相容れない立場が物語に大きな深みを与えました。
ちなみに『ニーア ゲシュタルト/レプリカント』のパワーアップ版『ニーア レプリカント ver.1.22474487139…』が、PS4やSteam向けに発売中。現行機で遊べるので、興味が沸いた方はぜひ、「倒したくない敵」とその理由を体験してください。
(臥待)





