トラブルは「とんち」で解決する『一休さん』 モデルの一休禅師は波乱ばかりの人生?
権威や常識に囚われなかった実在の一休禅師

とんち話の数々で有名な一休さんは、室町時代に実在した臨済宗の高名な僧侶・一休宗純がモデルです。TVアニメでは天皇家の血筋を引いているというエピソードが語られていましたが、これも創作ではなく、本当に後小松天皇のご落胤(隠し子)だったと言われています。母親は敵対する南朝側の家柄で、まるで『ロミオとジュリエット』の間に生まれた子供のような複雑な家庭環境だったようです。
TVアニメでは一休さんのかわいらしい少年時代しか描いていませんが、実在した一休禅師はかなりワイルドな人生を送っています。仏門に入りながらも、お酒を飲み、肉も食べ、自殺未遂事件まで起こしています。さらには77歳にして、50歳年下の盲目の女旅芸人・森女との同棲生活を始めました。晩年、森女とラブラブな様子をいくつもの詩として書き残しています。
その一方では、戦乱のために荒廃してしまったお寺の数々を復興させることに、一休さんは尽力しました。権威や常識に左右されることなく、人間らしく自由奔放に生き、多くの庶民から慕われたそうです。蜷川新右衛門さんもTVアニメ上の架空の人物ではなく、実在した一休さんの親友でした。風狂を極めた超ファンキーな破戒僧、それが一休さんの実像だったようです。
困ったときこそ思い出したい一休さんの精神
当時としてはかなり高齢となる87歳で亡くなった一休さんですが、お寺を守る弟子たちのために一通の手紙を書き残したとも言われています。弟子には「本当に困ったとき、この手紙を読みなさい」と伝えたそうです。
一休さんが亡くなった後、お寺のことで困り果てた弟子が、手紙を開けるとこんな内容が書かれていました。
「心配するな 大丈夫 なんとかなる」
この遺言エピソードは、後世の創作ではないかと言われていますが、それも庶民から愛された一休さんならではの伝説ではないでしょうか。
一休という名前も、修行僧時代に詠んだ「人生とは この世からあの世へと向かう ほんのひと休み」という詩にちなんだものだそうです。
パニック状態に陥りがちなときこそ、「あわてない あわてない。ひと休み ひと休み」という『一休さん』の精神を、ぜひ思い出したいものです。
(長野辰次)