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「防災週間」に読みたい漫画、『漂流教室』と『サバイバル』が教えてくれる教訓とは?

人間の恐ろしさ描く一方、「助け合い」の大切さも

『サバイバル』文庫版 第1巻(リイド社)
『サバイバル』文庫版 第1巻(リイド社)

 一方、『サバイバル』では、友人たちとの洞窟探検中に地震に見舞われた少年、鈴木サトルがまさに自然の中で力強くサバイブする様子が描かれているのですが、やはり物語の中心に描かれるのは食料や水の確保です。

 両方の作品を幼少期に読んだ筆者も、子供心に「もし、巨大地震があったら」という想像を巡らせたものでしたが、「火の起こし方」や、「いかに刃物が大切か」といった知識や、ネズミがいかに恐ろしい生き物かをマンガから学んだ記憶があります。

 加えて、どちらの作品も災害が起こった後、極限状態での人間の恐ろしさが生々しく描かれており、『漂流教室』では、狂ってしまった担任の若原先生や、『やさしかった給食のおじさん』こと関谷など、トラウマもののキャラクターが多く登場します。

『サバイバル』では、荒廃した東京で出会った酒飲みの「男」や、米兵のロバートとウィリアム、地震に乗じて脱獄した男たちや、さつき様の村の村人、辰野の畑泥棒や最後の村の村人など、災害よりも、その後の世界で展開される人間の醜さが描かれており、結局、登場キャラの中で義理に厚いのは犬のシロ……という皮肉な結果となっています。

 とはいえ、登場する人間のすべてが救いようのない輩(やから)ばかりかといえば、そうでもありません。『漂流教室』の場合、主人公の高松翔を助ける咲ッペをはじめとする仲間たちが存在しますし、『サバイバル』でも、東京で出会った志賀老人や、さつき様の村の和夫と松じい、最後の村のツネとその家族など、心あたたかい人物も登場します。

 近年の日本でも、地震に限らず毎年のように災害が発生していますが、そんな困った時こそ、お互いを労りあい、助け合う精神が必要です。過去の災害を教訓に制定された「防災の日」。そんな意識を高めるうえで『漂流教室』と『サバイバル』、このふたつの作品はオススメです。

(渡辺まこと)

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