最近の「アニメ作品のテンポ」は速くなった? 転換点は「2005年前後」 背景に製作形態の変化も
2005年あたりから高速化が顕著に?

しかしながら2002年に大きく状況を変化させたと思われる作品が放送されました。ゲームブランド「Key」の原作をアニメ化した『KANON』です。『KANON』のゲームシナリオは1クールでアニメ化するのはほぼ不可能と思われる膨大な量でしたが、TVアニメ化の際は原作のエピソードを可能な限り織り込みながらストーリーをまとめ上げており、静かな雰囲気でありながら展開はスピーディーな作品となっていました。
なお、『KANON』は2006年に二度目のアニメ化が行われましたが、こちらは24話構成となっており、シナリオに対する適正なボリュームとなっていたように思えます。
さらに2005年にはやはり「Key」ブランドの作品である『AIR』が放送され、大ヒット作品となりました。多くの人の心をとらえた重厚で悲劇的な物語を1クールでアニメ化するのは厳しいと思われましたが、見事なテンポ感により芸術的なストーリー展開を見せてくれています。
このあたりからテンポを重視した作品が急速に増加しており、特にこの時期に一世を風靡した制作会社・シャフトからは『さよなら絶望先生』など数々の傑作が生みだされました。
その後は2009年の『化物語』や2012年の『ソードアート・オンライン』など原作の内容に忠実なアニメのヒットにより、原作つきアニメがさらに増加。原作の内容を可能な限り詰め込むために速いテンポの作品が増え、アニメオリジナル作品のテンポもあわせて加速していったと考えられます。
近年は2分程度のショートアニメも増加しており、より短い時間で楽しめるコンテンツが求められる傾向にあります。アニメはテンポが速くなるだけでなく、より短く、より情報密度の濃い形へと、さらなる変貌を遂げていくのかもしれません。
(早川清一朗)



