そりゃ寝返るよ…『機動戦士ガンダム0083』シーマがデラーズを裏切るに至る納得のワケ
デラーズは誘ったことがそもそもの間違いだった?

シーマ艦隊は民間船や地球連邦軍、ジオン残党の船舶までも襲撃して略奪しただけでなく、月の大企業「アナハイム・エレクトロニクス」や地球連邦軍高官ともパイプを作り、生存を図っていました。
そうした中、デラーズが「自分と協力して、星の屑作戦を行う」よう要請してきたわけです。承諾したシーマにデラーズが命じたのは、民間船であるコロニー公社の輸送船を撃墜してのコロニージャックや、アナハイムに対して「月にコロニーを落とす」と脅迫して協力を強要する謀略であり、また「汚れ仕事」をさせたともいえます。
シーマ艦隊の作戦参加に対して、かつてシーマがアサクラ大佐の乗艦を攻撃しようとしたことを知るガトーは、上官のデラーズに「あの腹には黒々としたものが……たとえ常勝の武人といえども、この宇宙に光をもたらす者ではありません。必ずや将来、栄光あるジオンに仇をなすでしょう」と進言しています。
ガトーの進言は正鵠を得ていました。ただシーマからすれば、もしそれを聞いたとしても「民間人虐殺みたいな汚れ仕事を押し付けた上に、あたしたちを戦犯にもしたジオンの何が栄光だい」としか思わなかったでしょう。
こうした理由で、シーマはデラーズ・フリートの情報を地球連邦軍の「グリーン・ワイアット」大将らに伝え、連邦側へと寝返るわけです。
では、シーマが寝返らないような展開はあり得たのでしょうか。シーマから見てデラーズとは、かつて彼女を戦犯にしたアサクラの同僚(同じギレン配下で階級も同じ)です。
デラーズはCDドラマ『宇宙の蜉蝣』で「シーマがかつてしてきたことは知らない」とは言っていますが、シーマに命じた仕事はアサクラと同じ「汚れ仕事」ですから、シーマのジオンへの見方が変わるわけもなく、「人は正義を口にした途端、正義じゃなくなるのさ」「あたしは故あれば寝返るんだよ」と、最初から考えていたに違いありません。デラーズ・フリートに加わったのも「なるべく高くデラーズらの情報、あるいは身柄を連邦軍に売りつけ、自分たちを高く買い取らせるため」ですし。
またデラーズの「星の屑作戦」は成功しても、連邦軍による報復で全滅を免れない可能性も高い上に、脱出先となるアクシズへの亡命が「戦犯として拒否された」過去を考えても、シーマとしては「デラーズに最後まで付き合っても死ぬだけだ」とも考えていたでしょう。つまり、寝返らせないのは難しかったと思われます。
この辺り「志を持たぬ者(シーマ)も導こう」とシーマ艦隊を味方につけたデラーズは、戦力不足で目が曇り、スカウトする相手を間違えたといえるでしょう。
では、シーマが最初から「星の屑作戦」へ参加しなければ、どうなったでしょうか。
シーマ艦隊が「星の屑作戦」に参加しなくても、デラーズ・フリートは観艦式を核攻撃して連邦艦隊を壊滅させ、作戦自体も成功させていたと考えられます。ここが史実通りであれば、ジオン狩り部隊「ティターンズ」は結成され、反地球連邦組織「エゥーゴ」も結成されるでしょう。月や連邦軍にも人脈を持つシーマは、艦隊ごと「ティターンズ」か「エゥーゴ」に参加したかもしれません。とはいえ、エゥーゴの軍服はシーマに似合いそうもありませんね。
(安藤昌季)















