『フリーレン』アニオリ描写が「良改変」 原作ファンも「深みが増した」と絶賛か
「あえて描かない」という大胆なアニオリ描写も

ほかにも第15話でフェルンとシュタルクのダンスシーンが長尺でたっぷりと描かれるなど、『葬送のフリーレン』では原作にない描写を追加するアニオリ演出がいくつも見られます。しかしその一方で、原作ではっきりと示されていた描写を、あえて視聴者にゆだねるという真逆の演出もありました。
物語の序盤、死期が間近に迫ったハイターがフリーレンに「あなたはやはり優しい子です」と声をかける場面でのことです。原作ではこのセリフの直後にフリーレンの顔が正面から描かれ、それまで平然としているように見えた彼女が実は泣いていたのだと発覚します。セリフだけでは登場人物の感情が分からない、マンガならではの演出といえるでしょう。
それに対してアニメの第2話では、終始フリーレンの表情を一切映さないという大胆な演出によって同じ場面を描いていました。アニメではマンガと違って「声」があるため、表情がなくとも泣いていることは痛いほど伝わってきます。そしてこの改変によって、過剰な演出にならず、フリーレンの心情がすとんと心に落ちてくる印象です。一瞬だけフェルンの後ろ姿を映したのも、心情の描写としてとてもスマートでした。
同作の監督である斎藤圭一郎氏が以前手掛けたアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』もそうでしたが、『葬送のフリーレン』は原作の魅力をそのままに、コマとコマのあいだを補完する技術が卓越しているといえるのではないでしょうか。『ぼっち・ざ・ろっく!』や『葬送のフリーレン』のようなアニメ化がスタンダードになれば、マンガや小説などの「幸せなアニメ化」がもっと増えていくかもしれません。
(ハララ書房)

