【ネタバレ注意】話題沸騰の劇場版『ガンダムSEED』 ファンが熱狂した単純明快な理由
公開と同時に興行成績首位に立った劇場版『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』。早くも話題沸騰中の人気作品です。20年近くの刻を経て完結した『SEED』ストーリー。その魅力について振り返ります。
劇場版『ガンダムSEED』が面白かった最大の理由とは?

2024年1月26日(金)に公開された、劇場用完全新作『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』は、早くも話題沸騰中の作品です。週末3日間(1/26~1/28)で観客動員63万4千人、興行収入10億6500万円を記録し、「ガンダム」シリーズ最高の大ヒットスタートとなりました。何がファンを熱狂させているのか、その魅力について紐解いていきましょう。
※これ以降、映画の内容に関する情報「ネタバレ」と考えられる表現が多く含まれています。閲覧にはご注意下さい。
20年近く待ち望まれていた劇場版『ガンダムSEED』が公開されると、初日から多くのファンが劇場に殺到し、座席もほとんど埋まる盛況ぶりだったそうです。そのためか、販売されていた劇場版グッズもほとんどが完売しました。パンフレットも売り切れる劇場が続出したようです。
観終わったファンのなかには、本作を「最高傑作」と呼ぶ人も多く、何人もが「もう一度見たい」と口にしていました。劇場版『ガンダムSEED』の何がそこまでの熱気を生んだのでしょうか? それに関して拙いかもしれませんが、筆者が解説していこうと思います。
未見の人が記事を閲覧する可能性があるので、事前に情報が公開されていない固有名詞に関しては濁(にご)しますが、それでも気付く人がいるかもしれませんので本文は「ネタバレあり」の記事とさせてください。
率直な感想は、「面白い」のひと言に尽きます。これまで仕事で「ガンダムSEED」シリーズは何度見たか分からないくらいですが、今回の劇場版ほど見ていて心躍ったことはありませんでした。その理由を挙げるとすれば、ストーリーに意外性がないものの、王道的展開のエンターテイナー作品に仕上がっているということです。
本作は起承転結のキレイな流れを持った作品です。冒頭の戦闘で、いまだ世界は平和になっていない現状を説明し、続いて新たな勢力の前に、主人公たちが完膚なきまでに敗退するさまを見せつけました。そして、反撃するための仲間たちの集結を経て、最終決戦ではこれでもかというくらいの熱いバトルが待っていたわけです。
あえて誤解を恐れずにいうならば、難解なシナリオで見せる作品というよりも、場面ごとのインパクトを重要視した作品に徹していました。その点では「ガンダム」特有のリアル感があって考えさせられるようなドラマではなく、モヤモヤを引きずらない痛快な展開で物語を引っ張っていく映画だったわけです。
そういう点ではTV版2作の最終回のような余韻のある終わり方でなく、物語の完結にふさわしいハッピーエンドでした。もっとも、この点が『ガンダムSEED』らしくないと考える人もいるかもしれません。しかし前述の通り、「SEED」シリーズの完結と考えれば、相応のエンディングだったといえるでしょう。
ちなみに『ガンダムSEED』の「悪癖」もキチンと残っていました。大量破壊兵器で死んでいく人間をリアルに描いていた点や、時折、挟み込まれる過去の回想シーンなどです。でも、これは否定的な意見ではなく、こういった演出こそが『ガンダムSEED』なのだとも考えられるでしょう。筆者としては安定の演出だと思いました。
もちろんこういったドラマだけでなく、個々のキャラクター、MS(モビルスーツ)の見どころも満載だったと思います。後半はその点も解説していきましょう。