無課金おじさんと冴羽リョウの姿勢が一緒←「狙いが安定する」説を射撃協会へ取材【パリ五輪】
パリオリンピックの射撃競技で、『シティーハンター』冴羽リョウと無課金おじさん(ユスフ・ディケチ選手)の姿勢が一緒、と注目を集めました。うわさの「ポケットに手を突っ込むと安定」は真実なのでしょうか? 「日本ライフル射撃協会」にお話を聞きました。
話題の「あのメガネ」は何円で買える?

2024年7月26日から8月12日までパリオリンピックが開催されています。X(旧:Twitter)で、特に盛り上がった競技のひとつに射撃競技での選手たちが挙げられます。映画から飛び出してきたような、近未来的なメガネや個性あふれる選手の服装に「かっこよすぎ」「クセ強いな」との声があがり、「25mピストル」の銀メダリストである、韓国のキム・イェジ選手が「美しすぎる」と注目を浴びました。
またトルコのユスフ・ディケチ選手がとてもラフな格好と普通のメガネで参加し、「混合エアピストル」にて銀メダルを獲得したことで「無課金おじさん」というワードがトレンド入りします。ここでいう「無課金」とは、ほかの選手が使用していたようなメガネを使用せず、ゲームでいう「無課金」状態である、という意味です。
また、マンガ『シティーハンター』の冴羽リョウも、同じ格好で撃っていた、と言う事実ファンを驚かせました。その理由として、ちまたでは「ポケットに手を突っ込んで撃つと安定する」という説が流れているようです。実際のところはどうなのでしょうか?
射撃の装備品や射撃の姿勢などについて、2016年のリオデジャネイロオリンピックで射撃チームの監督を務めた、日本ライフル射撃協会事務局の溝部政司さんにお話をうかがいました。
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ーー矯正メガネといった競技に使われる道具は、高額なのでしょうか?
メーカーにもよりますが、最新の銃砲店カタログでは、グラスフレームが4万円から8万円といった価格で販売されています。
ただし、レンズは別料金です。レンズは片目用のため1枚3000円から6000円くらいかと思われます。通常に使っているメガネの効き目でないほうのレンズにシールなどを貼って目隠しをする選手も普通にいます。
ーー無装備のユスフ・ディケチ選手が注目を浴びましたが、装備がないことによって競技への差が出てしまうものなのでしょうか?
ピストル競技は、銃を片手で保持して、止めて撃つ競技です。このため銃を保持して静止させる能力の差が、成績を左右します。このため、装備の差よりも能力の差が出やすい競技と言えます。
一方でライフル射撃は、選手は固い布製のジャケットを着用して銃を体で支えて静止させて撃ちますので、ピストルよりも装備の差が出やすい競技です。
しかしライフル競技の選手でオリンピックに出場するトップクラスの選手は、ほとんどの選手が同等の良い装備で出場しているため、最後は能力の差やメンタルの差で勝敗が決します。