「ドム」のホバー移動は実現可能!? 人類にはまだまだ危険な「NTR」ってなんなの?
人類には早すぎる? NTRの難点はやはり…

空気を利用したNTRの一種「原子力ターボジェット」は現実世界の既存技術であり、飛行試験の一歩手前まで行われた例もあります。宇宙世紀の世界では「熱核ジェット」と呼称されているもので、すなわちドムに搭載されている機構です。
原子力ターボジェットのメカニズムは、通常のジェットエンジンと同じように、圧縮機によって空気を吸い込み圧力を高め、燃料に点火する燃焼室の代わりに原子炉からエネルギーを取り出す熱交換器によって空気を加熱、そして膨張した空気はタービンによって回転力が抽出され、この動力は圧縮機の駆動に使われます。最後に空気は排気としてノズルから噴射され推進力となります。
原子力ターボジェットが航空機用エンジンとして実用化された際には、事実上、無限の航続距離を得ることができたはずでした。ところが、原子炉の安全性、放射線遮蔽の問題やコストが非常に膨大であったこと、小型化、軽量化が困難であったことなどから、B-36戦略爆撃機に原子炉だけ搭載した試験飛行は行われたものの、肝心の原子力ターボジェットの空中での運転前に計画が中止されました。
なおモビルスーツが搭載する原子炉は「核融合」方式であり、現実世界で実際に作成された航空機用原子炉は「核分裂」方式と、熱エネルギーを得るための仕組みが大きく異なります。ただどちらを使っても、熱を推進力に変換するためのロケット(ジェット)の基本的な原理は大きく違わないと考えられます。
原子力ターボジェットの欠点は真空の宇宙空間では動作しないことです。そのため宇宙空間での運用を目的としたドムは、改修型の「リック・ドム」として登場しています。
(関賢太郎)








