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電子書籍大手「BookLive! 」の飛躍支えた、「好きな作品に出会える場所を」の思い

「使いやすさ」と「安心感」をユーザーに提供したい

お話を伺った、株式会社BookLiveの浅井善行さんと野淵大輔さん
お話を伺った、株式会社BookLiveの浅井善行さんと野淵大輔さん

――オリジナルレーベルの「NINO」「ズレット」「オトナ恋」などは、いずれも際立ったコンセプトが特徴だと思います。これらのコンテンツ制作に、電子書店としての強みをどう生かしていますか?

野淵大輔さん(以下敬称略) 当社最大の強みは、「BookLive!」「BookLive!コミック」で集積された、ビッグデータともいうべきデジタルマーケティング情報です。これらのデータを分析し、コミック編集部が作品制作に活用しています。他にも、電子書店運営メンバーや広告・PR担当メンバーの知見も取り入れ、読者が読みたい作品を読みやすいパッケージングにして配信することを目指しています。

「読者に、読書を通じて、楽しみ、感動をお届けする」「著者に、作品発表の場と、より多くの方に読んでいただく環境を提供する」。この2点は、電子書店もオリジナルコミック制作も同じだと思うのです。電子書店運営とオリジナルコミック制作の両輪を確立することで、より良い作品を、より多くの方に届けることができると考えています。

「BookLive!」は2020年2月に9周年を迎え、さまざまなキャンペーンを実施した
「BookLive!」は2020年2月に9周年を迎え、さまざまなキャンペーンを実施した

――サイト開設10周年に向けた戦略などはありますか?

浅井 短期的な成長ももちろん大切ですが、長期的な視点で継続的に成長できることが、より重要だと考えています。そのためには利用者ひとりひとりが、使いやすく、安心してサービスを利用できる環境を整備することが第一と考えています。

 話は変わりますが、弊社には大量の新作を読み込んでいる「書店員・すず木」という実在の社員がいます。すず木が、本当に面白いと感じた作品をじっくり紹介するコーナーを毎月更新したり、「BookLive!」の公式Twitter上に登場するイベントなどを実施しているのですが、最近、じわじわとすず木の人気が出ています。ECサイトとしてただ作品を売るだけでなく、運営のいわゆる「中の人」が見えることで安心感を抱いていただき、作品への興味喚起につなげていきたいですね。

「BookLive!」は2019年から、より多くの人に認知してもらうためにテレビCMを開始しました。「BookLive!」を通じて、一冊でも多くの本を知っていただく機会を作る。そして読者ひとりひとりの「好き」が広がり、安心して好きな作品にひたる時間をもってもらえるよう、がんばっていきます。

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 電子コミックのサービスが次々と生まれるなか、Webならではのクーポン戦略やメディアミックス、データ活用によるコンテンツ企画を進めてきた「BookLive!」。「まるごと1冊無料」「クーポンガチャ」といった施策の背景には、彼らが愛する作品を、少しでも多くの人に広めたいというマンガ愛がありました。

(サトートモロー)

【画像】マンガ最新話が紙版雑誌より先に読める? 「BookLive!」業界初の試み(7枚)

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