今見ても怖すぎる海外アニメ映画 「全く他人事じゃない」「動物で油断した」
近年は懐かしい名作アニメ映画のリバイバル上映も多数あり、なかには幼少期に多くの人のトラウマとなった海外の衝撃的アニメ映画が、クリアな映像になって蘇った例もあります。今でも人気ながら、観返すのが怖い人も多いようです。
リバイバル上映も大好評
近年、さまざまな名作映画のリマスター版のリバイバル上映が行われており、懐かしの海外製アニメ映画も数多く劇場にかかりました。なかには独特過ぎる作風や衝撃展開で、多くの人のトラウマになった作品もあります。
●『ファンタスティック・プラネット』
2025年1月10日18時から、「シネフィルWOWOWプラス」の公式YouTubeで2週間無料配信が始まるのが、1973年にフランスとチェコが共同制作したアニメ映画『ファンタスティック・プラネット』です。紙を切って作ったキャラクターを動かす「切り絵アニメーション」という手法や独特のデザイン、ブラックユーモアあふれるストーリーで長年愛される本作は、2021年のDCP(デジタルシネマパッケージ)での上映も好評を博しました。
本作は、宇宙のどこかの架空の惑星「イガム」を舞台に、巨大な種族の「ドラーグ族」と、彼らに支配される「オム族」による争いを描いています。オム族は人間そっくりですが、ドラーグ族は青い皮膚や真っ赤で丸い目、魚のヒレのような耳というビジュアルで、これだけでもトラウマ級のインパクトがありました。
さらに、ドラーグ族は小さなオム族を奴隷やペットのように扱っており、オム族が虫けらの踏み潰されたり、首輪をつけられて散歩させられたりするシーン、後半の「野性の惑星」の場面も衝撃的です。出てくる動物やマシンのデザインもシュールで、「高熱がある時に見る夢みたいな映像だから夢か現実か分からなくなった」「好きな作品なんだけど観る日によってはたまにゲーしそうになる」など、さまざまなインパクトを与えた作品となりました。
●『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』
作家リチャード・アダムス氏によるイギリスの児童文学原作のアニメ映画『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』(1978年)は、2024年11月30日からHDリマスター版が上映されました。
予知能力をそなえたうさぎ「ファイバー」が危険を察したことで、安住の地を目指し旅する野うさぎたちは、猛獣や人間の罠、食われるためだけにうさぎが育てられる養兔場など、恐ろしい状況に出くわしていきます。
恐ろしいビジュアルのうさぎ「ウーンドウォート将軍」の軍勢との争いにも巻き込まれるなど、野生で生きる彼らの戦いが生々しく描かれており、今回のリバイバル上映でも「罠に掛かり首に針金がからまった状態で悶絶するうさぎが強烈過ぎる」「埋め立てにより生き埋めにされるうさぎたちの悪夢的イメージが強烈」と、さまざまな描写が話題になりました。
人間たちの自然破壊の問題にも触れている一方、うさぎたちの社会も人間界の風刺になっており、90分程度の上映時間とは思えない、盛りだくさんの内容が楽しめる名作です。
●『風が吹くとき』
1986年のイギリス映画『風が吹くとき』は、作家でイラストレーターであるレイモンド・ブリッグズ氏の絵本が原作で、日本では1987年に劇場公開されました。2024年8月2日からは大島渚監督監修、森繁久彌さんと加藤治子さんが吹き替えを担当した、日本初公開時のバージョンのリバイバル上映も行われています。
ブリッグズ氏のかわいらしい絵柄が動くアニメーションですが、本作は核戦争が勃発してしまい、イギリスの田舎の老夫婦が放射能にむしばまれていくというあまりにも恐ろしい内容です。ほとんどの場面は彼らの家のなかで展開され、老夫婦は政府から発表される情報に頼って核の脅威に備えていくのですが、「政府推薦の屋内シェルター」はドアを外して3枚並べただけという、悪い冗談のようなものでした。
その後、核が落ちて辺り一面が荒廃し、弱って髪が抜け落ちても夫婦がどこか楽観的なままなのも恐ろしく、リバイバル上映後、「実際に3日後に戦争が始まると言われたときに、自分は何をすべきか全く想像もつかないし、国の発表に従うだろうというのは想像に難くない」「最後まで元の暮らしに戻れると信じて死んでいくの、リアルだな」と、改めて他人事とは思えない内容に戦慄したレビューが相次いでいます。
(マグミクス編集部)