マグミクス | manga * anime * game

『ストリートファイター』春麗の“ごめんねポーズ”の元ネタは『ロトの紋章』だった? 作り手たちが明かした「おおらかな時代」の真実

格闘ゲーム全体のヒロインといえる、「ストリートファイター」シリーズの「春麗」。彼女の「ごめんね!」という有名な挑発ポーズには、元ネタがあったのでした。

「ごめんね!」元ネタがあったの!

原作・設定:川又千秋/脚本:小柳順治/作画:藤原カムイ『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』完全版 1巻(スクウェア・エニックス)
原作・設定:川又千秋/脚本:小柳順治/作画:藤原カムイ『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』完全版 1巻(スクウェア・エニックス)

 今なお競技人口を増やし続けている「ストリートファイター」シリーズ。その人気の規模が拡大するにつれ、ヒロイン「春麗」の人気もまた広がっています。この記事では、春麗の「ある真実」について紐解きます。

 春麗といえば、お団子ヘアーのかわいらしい見た目とは裏腹に、強烈な脚技で自分よりも大きな体格の対戦相手を翻弄する非常に強いキャラクターです。とはいえ、勝利後に「やったー!」と無邪気に飛び跳ねるなど、やや少女性の残った所作もまた魅力です。そして、1995年発売の『ストリートファイターZERO』では今や彼女の代名詞とも言える「ごめんね!」の挑発ポーズが実装されました。

 片手を後ろに回し、もう片方の手を立て、なんとも決まりの悪そうな笑顔で「ごめんね!」と謝るこの所作は、もちろん挑発ではありますが、格闘家の春麗が相手を倒して、ふと我に帰ったような、そんな人間味を感じさせる名アクションでした。

 さて、この「ごめんね!」には、「元ネタ」とされるマンガのシーンがあるのをご存じでしょうか。それは、意外にも格闘マンガなどではなく、ドラクエマンガの金字塔『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』(原作・設定:川又千秋/脚本:小柳順治/作画:藤原カムイ)に他なりません。『ロトの紋章』と春麗の「ごめんね!」は、いったいどのように関係しているのでしょうか。

 まず「元ネタ」とされている箇所を確認しましょう。1993年発売の、第8巻収録、28話に該当シーンがあります。「獣王グノン」が率いる、獣系モンスター軍団を相手に、主人公「アルス」らが一騎当千の孤独な戦闘を強いられている場面です。最強の拳法を受け継ぐ少女「拳王ヤオ」が、空を飛ぶ敵を倒すべく、仲間(剣王キラ)の頭を「踏み台」にして跳躍し、見事に敵を撃破するのです。

 その後、頭を踏んづけたキラに対して、ヤオは、春麗のポーズとほぼ同じ姿勢、同じ表情で「ごめん!!(エヘヘヘヘ)」と謝るのでした。春麗の「ごめんね!」がどこか決まりの悪そうなのも、ヤオのこのシーン由来だったからなのでしょう。

 この「元ネタ」は、単なる憶測ではありません。『ロトの紋章』の作画担当の藤原カムイさんもご自身のSNSで公言されています。また、『ストリートファイターZERO』における春麗のデザインを担当された中村絵里さんも、「伏せ字」を用いてではありますが、参考にした旨を設定イラストのなかで明かしています。1995年当時、今よりもはるかに「著作権」というものが、おおらかに扱われていたことがよく分かります。なお、この中村さんは、春麗の「やったー!」の声を担当した人でもありました。

 改めて、整理すれば春麗の「ごめんね!」の元ネタは『ロトの紋章』のヤオでした。また、どっちのキャラクターもそれぞれに最高にかわいらしく、凄まじく強いのです。目を閉じれば、春麗が「異魔神」と戦い、ヤオがボーナスステージで車をめちゃくちゃ壊す並行世界が、うっすら見えてきます。

※タイトルを一部修正しました(4月18日7時42分)

(片野)

【画像】おぉ…元ネタはここだったか! コチラがめっちゃ可愛い『ロト紋』キャラと春麗です(画像:4枚)

画像ギャラリー