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コア・ファイターがガンダムに? 『F90』『F91』から『V』へと繋がる富野流モビルスーツ進化論

放送当初は異質に感じられた『Vガンダム』の世界観は、実は『F90』『F91』から着実に積み上げてきた未来図でした。

Vガンダム誕生秘話

「HG 1/144 ヴィクトリーガンダム」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ
「HG 1/144 ヴィクトリーガンダム」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ

 1979年に始まったガンダムの歴史。あれから46年という月日が経ちました。

『機動戦士ガンダム』から今年放送がスタートした『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』まで幾重にも折り重なり、時代のなかで変化を続けてきたガンダム。

 そしてその「ガンダム」の制作側のスタッフも世代代わりしています。

 それでも、いまでもこの歴史の創始者である富野由悠季監督が手がけた作品に、多くのファンが敬意を払い、また愛してくれているというのは本当にすごいことです。

 そんな「ガンダム」シリーズのなかでも、コアなファンを持つのが『機動戦士Vガンダム』です。

 ただし「コア」といっても決してマニアだけのものという意味ではありません。

『Vガンダム』は、スタート時、それまでのTVシリーズで続いていた大人っぽさやミリタリーな雰囲気などとは一見縁遠い世界だったことが、当時のファンには少々意外だったようです。

『ガンダム』の人気に大きな役割を果たしていたシャアやアムロとは無縁の、全く別の、舞台、世界観。そのうえ、主人公ウッソはアムロやカミーユよりさらに若い13歳なのですから。

 しかし、それこそが富野監督の真骨頂。異質に感じた『Vガンダム』の物語は進むうち、これまでのガンダムから、次世代のガンダムワールドを成立させていきます。

 商業アニメのなかで、常に新たな世界作りを目指す監督にとっては、『Vガンダム』もスポンサー等の意向を取り込みながらの未来への挑戦なのです。

 それは、本作の主人公モビルスーツ「Vガンダム」についても同じでした。

 2年前に劇場公開された『機動戦士ガンダムF91』に続いて、同じ富野監督で制作されたTVシリーズが『Vガンダム』です。

 ガンダムワールドをよくご存じの方はお分かりでしょうが、劇場用『F91』を盛り立てていこうという発想から生まれたのが、プラモデルやマンガ、ゲームなどで展開された『機動戦士ガンダムF90』です。(ゲーム用のCM以外のアニメ化はありません)。

『F90』についてはここでは割愛しますが、その世界では、将来はコア・ファイターそのものがガンダムなのだという思想が表現されています。

 この『F90』で考えたコア・ファイターの新たなシステムの発展型が、Vガンダムの設定の基礎となっています。

 例えば、それまでのガンダムでは、コア・ファイターの武装は活用できませんが、その不便がここで解消されます。

 その代わり、肩と腕は消耗品という思い切った扱いになります。そこで、肩部分は「ハンガー」、足部分を「ブーツ」と洒落た名を付けたのが富野監督でした。

 つまり『F91』のために生まれた『F90』、そのなかで想定された未来図が『Vガンダム』。モビルスーツの世界がしっかりと歴史を刻んで進んでいくのです。

 物語だけでなく、モビルスーツにも、つねに新たなデザインや使い方を模索する富野監督は、同時に、ファンの方々がガンダムの何に注目し、何を大切にしてくれているのか、そして、何をこの先の話題として提供できるかへの挑戦を続けてもいるのです。

 また、当時は、立体のプレイバリューや設定の多くは、サンライズ(現:バンダイナムコフィルムワークス)の企画開発側に任されることも多く、ガンダムはモビルスーツの歴史を踏まえたものであることが、サンライズ側から担当デザイナーに具体的に伝えられます。監督もそれを取り込んで「『ガンダム』シリーズ」という形にしていました。

 ちなみに、Vガンダムの後継機、V2ガンダムには、額のVアンテナ、胸に翼のような象徴的なV型の「ミノフスキードライブユニット」が付いています。これは、デザイナーの側から「V2なので、Vをふたつにしておきました」というコメントともに上がってきたそうです。

 旧世代スタッフたちが、つねに大切にしていたガンダムワールドの歴史感。新たな世代が新しいガンダムワールドに挑んでいる今日まで、旧作が多くのファンたちに支持され続けてきた要因は、こんなところにあるのかもしれません。

 なお、この情報は『Vガンダム』の企画開発も担った設定担当から直接得ていますので、信頼度は保証します。

(風間洋(河原よしえ))

【著者プロフィール】
風間洋(河原よしえ)
1975年よりアニメ制作会社サンライズ(現・バンダイナムコフィルムワークス)の『勇者ライディーン』(東北新社)制作スタジオに学生バイトで所属。卒業後、正規スタッフとして『無敵超人ザンボット3』等の設定助手、『最強ロボ ダイオージャ』『戦闘メカ ザブングル』『聖戦士ダンバイン』『巨神ゴーグ』等の文芸設定制作、『重戦機エルガイム』では「河原よしえ」名で脚本参加。『機甲戦記ドラグナー』『魔神英雄伝ワタル』『鎧伝 サムライトルーパー』等々の企画開発等に携わる。1989年より著述家として独立。同社作品のノベライズ、オリジナル小説、脚本、ムック関係やコラム等も手掛けている。
2017年から、認定NPO法人・アニメ、特撮アーカイブ機構『ATAC』研究員として、アニメーションのアーカイブ活動にも参加中。

【画像】えっ、進化してる! 「F90→F91→Vガンダム」ビジュアルの変遷を見る(4枚)

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