続編決定に沸く『鎧伝サムライトルーパー』企画から放送までわずか3か月だった? 驚きの誕生秘話
36年前、ブームまで起こした昭和最後のサンライズアニメ『鎧伝サムライトルーパー』とは?
元スタッフが明かす誕生秘話

つい先日発表された『鎧真伝サムライトルーパー』放送決定情報。この知らせにSNSは騒然としました。
前作に当たる『鎧伝サムライトルーパー』は、1988年4月~1989年3月、名古屋テレビ(現:メ~テレ)、テレビ朝日系列で放送されたサンライズ(現:バンダイナムコフィルムワークス)のオリジナルアニメーションです。
では、この『鎧伝サムライトルーパー』とはどんな作品だったのでしょうか。
日本には、古来から歴史の裏で密かに伝わる、人の「清き心」が形となった「鎧」があった。突如、東京新宿の上空に現れた「妖邪」の居城と謎の鎧武者。しかし「仁、義、礼、智、信」の心を持った五人の少年たちが「武装!」というかけ声で、それぞれ大自然の力を秘めた伝説の鎧戦士「烈火、金剛、光輪、天空、水滸」に変身。邪悪なる魂に支配された妖邪帝王「阿羅醐(あらご)」率いる「四魔将」などの妖邪たちと熾烈(しれつ)な戦いを繰り広げ、やがてその戦いの場は、人の負の魂が作り出した都、妖邪界へ……。
玩具メーカーのタカラ(現:タカラトミー)のオーダーで、外装に日本鎧を着けアクションプレイできるフィギュアのために、当時サンライズ企画開発室が企画したTVシリーズです。
当初は社内プロデューサー預かりの企画でしたが、なかなかスポンサーの意に沿わず、企画開発室が引き受けることになったのですが、そのためには、それまでに作った企画は無いものとし、全くいちから作り直す必要がありました。
ですが引き受けの話が来た時点で放送予定時期までなんと3か月しかなく、スポンサーへのプレゼンテーションは2週間後という超タイトなスケジュール。
とにかくターゲットである子供にわかりやすく、アクションを主体とした作品をと、いわゆる「戦隊もの」をヒントとしたキャラクターを作ろうと考えますが、その時に重視したのが「カッコ良く鎧を描く」。
そこで、骨太で重厚な絵柄のベテランアニメーター、塩山紀生さんに白羽の矢を立てるのですが、塩山さんの絵柄は大人っぽくちょっと地味な印象なのです。
しかしアクションフィギュアを買ってもらうにはキャラ人気が重要です。
ここで一計を案じ、華やかな絵柄で塩山さんとも懇意の、同じくベテランアニメーター、金山明博さんにキャラクターラフを描いていただき、それを塩山さんがアレンジクリンナップするという方法を考え、ふたりのアニメーターさんの元を行き来することでキャラクターを完成させました。
これに、世界観とストーリーイメージ、さらに物語を膨らませる要素や名前、キャラの出身地を日本の各所に散らして親近感を持たせる等の工夫も盛り込んだ企画書で、プレゼンテーションは成功。作品制作が決定したのでした。
当時の30分枠のTVシリーズは、脚本から作品が出来上がるまで最低でも半年から4か月はかかります。ところが企画段階で3か月しかないのですから制作現場も大変です。それでも、さまざまな工夫でスケジュールのまき直しにも成功し、無事に放送を終えました。
そんななか、前述の通り、あくまでもアクションフィギュアが主商品という男児向け作品だった本作は(アンケート等では男児人気が高く、刀等の「なりきり玩具」は高い売り上げ成績を残しています)、個性的な5人の少年、四魔将などがハイティーン女子の人気も集め、掲載アニメ雑誌や声優さんたちがブレイクする等のヒット作となって行くのです。
特に、いまでは当たり前になった声優ユニットイベントや聖地巡礼がファン活動に定着したり、デザイナーに同人誌作家さんの力を借りる、ロボット以外の作品も重視するようになるなど、さまざまな影響も残しています。
おまけになりますが、本作の企画立案は企画室長、企画書が私です。
なぜなら、当時企画開発室は、このふたりしかいなかったから。
これが元になって、私は後に本作のノベライズ等まで書くことになり、おかげさまでいまでも多くのトルーパーファンの方が名前を覚えて下さっています。本当に光栄なことです。
私にとっても縁浅からぬ本作。担当した他のサンライズ作品とは、また少し違った思い入れもあります。
『鎧真伝サムライトルーパー』は「正統」とのこと。たしかに、これはただごとではないのかもしれません。
さて、どんな「続き」になってくれるのでしょう。
ちなみに私は一切関係しておりませんよ。
(風間洋(河原よしえ))
【著者プロフィール】
風間洋(河原よしえ)
1975年よりアニメ制作会社サンライズ(現・バンダイナムコフィルムワークス)の『勇者ライディーン』(東北新社)制作スタジオに学生バイトで所属。卒業後、正規スタッフとして『無敵超人ザンボット3』等の設定助手、『最強ロボ ダイオージャ』『戦闘メカ ザブングル』『聖戦士ダンバイン』『巨神ゴーグ』等の文芸設定制作、『重戦機エルガイム』では「河原よしえ」名で脚本参加。『機甲戦記ドラグナー』『魔神英雄伝ワタル』『鎧伝 サムライトルーパー』等々の企画開発等に携わる。1989年より著述家として独立。同社作品のノベライズ、オリジナル小説、脚本、ムック関係やコラム等も手掛けている。
2017年から、認定NPO法人・アニメ、特撮アーカイブ機構『ATAC』研究員として、アニメーションのアーカイブ活動にも参加中。





