『ガンダム』リック・ドムの「リック」の由来←“宇宙”ではなかった? 富野監督の証言に驚愕!
2025年5月『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』第5話で「リック・ドム」が登場し、「陸ドムなら海ドムもある?」という初心者の勘違いが話題に。ガンダムワールドで「宇宙用」を意味する「リック」、その意外な由来を探ります。
「リック」の意外な由来?

2025年5月6日放送のアニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』第5話で「リック・ドム」が登場したことで、SNSで「リック・ドム」のワードがトレンド入りしました。
あるファンはガンダムに詳しくない奥さんとの「陸ドムってことは海ドムとか空ドムもいるの?」という会話を紹介するなど、「リック」というワードが再注目されるに至りました。
この謎ワード「リック」とは何なのでしょうか。
まず「リック」を冠する最も有名な固有名詞といえば「リック・ドム」でしょう。 これは宇宙世紀0079年の一年戦争中、ジオン公国軍が開発した重モビルスーツ「ドム」の宇宙戦仕様のことです。地上戦用として開発されたドムを宇宙用に改修したものが「リック・ドム」なのです。
ガンダムシリーズには「リック」のつく機体がほかにも存在します。『機動戦士Zガンダム』に登場する「リック・ディアス」もそのひとつです。「クワトロ・バジーナ(シャア・アズナブル)」がこのMSに、アフリカ大陸最南端の喜望峰の発見者である冒険家「バーソロミュー・ディアス」の名から「ディアス」をとり、宇宙用を意味する「リック」を付けて命名したとされています。
では、この「リック」とは何を意味するのでしょう?
辞書で「rick」を調べても「積み重ねる」「(干し草を)山にする」などの意味があり、モビルスーツの命名に関係がありそうな意味は見当たりません。
実は「リック」はガンダムワールドにおいて、主に「宇宙用」を意味する造語として使われているのです。しかし、その由来については長い間、ファンの間で謎とされてきました。
この謎について、1999年発売のムック『ガンダム・エイジ ガンプラ世代のためのガンダム読本』(洋泉社)に興味深い記述があります。サンライズを通して富野由悠季監督に取材したところ、なんと監督は「あれはリメイクなんだよ」と答えたというのです。「リメイク・ドム」を言いやすくして、「リック・ドム」ということでしょうか。
ところが、その場にいた当時の原画担当者は「あれは坂上二郎の『怪盗リックサック』から採ったって監督が言ってましたよ」と別の証言をしています。
怪盗リックサックとは、1971年のバラエティー番組『マチャアキのテレビはこれだ! ドラマが3つも』の中の1コーナー、『カンチョーマン』に登場する、堺正章扮する主人公「カンチョーマン」の宿敵という設定のキャラクターです。「ガンダム」シリーズや宇宙とは何ら関係がないように思えます。
とはいえ、人間の記憶は時に曖昧なもの。40年以上前の命名の真相は、もはやスタッフにも定かではないのかもしれません。それでも、「リック・ドム」を「陸ドム」と勘違いする初心者の存在も含めて、ガンダム用語の独特な世界を楽しむのも一興ではないでしょうか。
(マグミクス編集部)