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『ガンダム』いま最もホットな「ララァ・スン」 秘められた過去を描いた小説『密会』が再注目

2025年6月3日深夜放送の『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』第9話を受けて、SNSで「ララァ・スン」がトレンド入り。初代『ガンダム』では謎に包まれた美少女として登場した彼女ですが、富野監督による小説版では驚くべき過去が明かされていました。

当時のTVアニメでは放送しづらい過去?

小説『密会 アムロとララァ』 著:富野由悠季(角川スニーカー文庫)
小説『密会 アムロとララァ』 著:富野由悠季(角川スニーカー文庫)

 2025年6月3日深夜に放送された『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』第9話を受けて、X(旧:Twitter)では「ララァ・スン」がトレンド入りを果たしました。なかでも、富野由悠季監督による小説『密会 アムロとララァ』について言及するファンの投稿も多く見られます。

 これまで1979年のTVアニメ版『機動戦士ガンダム』や劇場版三部作では、「ララァ・スン」の過去は謎に包まれたままでした。彼女の出身地や「シャア・アズナブル」に拾われた経緯など、その生い立ちは語られておらず、公式サイトでも「孤児だったところをシャアに拾われ、フラナガン機関に育てられたニュータイプの少女」という簡潔な説明があるだけです。

 しかし、富野監督による小説『密会』では、当時のTVアニメでは到底描けないような衝撃的な設定が明かされています。

 小説『密会』は、1997年に角川mini文庫より全2巻で刊行され、現在は角川スニーカー文庫から全1巻で刊行されています。この『密会』では、当時のTVアニメでは描きづらいような内容が含まれており、特に注目すべきは、アニメでは全く語られなかったララァの生い立ちが明かされていることです。

 小説版でのララァは、物心ついた頃からインド地区「ディリー」の擁護院で育ちました。そして9歳の時、高級娼館「カバス」の主人に養女として引き取られます。養父からインドの古典「カーマスートラ」までも引き合いに男女の愛欲について教え込まれました。

 ララァは17歳で初めて客を取り「女」になります。それからは月に数回「恋人」と呼ばれる男性客をとる生活を送っていました。

 転機が訪れたのは、ザンジバル級機動巡洋艦の受領のためにインドを訪れたシャアが、ジオン軍人としての素性を隠してララァの前に現れた時でした。シャアは一目で彼女の素質に気付き、宇宙に来るよう誘います。しかし、ララァは最初この申し出を受け入れませんでした。

 それでも「カバス」での生活を続けることに疑問を感じていたララァは、ある日突如として脱走を試みます。しかし失敗し、連れ戻されそうになったその瞬間、赤いモビルスーツが現れて追手を蹴散らしました。シャアはコクピットから金塊を詰めたトランクを投げ渡し、ララァを身請けしたのです。

 これが小説版で描かれたララァとシャアの出会いです。たしかに当時のTVアニメでは放送しづらい過去といえるでしょう。こうした過去があるなら、アニメでララァが年齢に似合わない大人びた包容力を見せていたことも腑に落ちます。

 ただし富野監督の作品とはいえ、小説版が「正史」かどうかは判断の分かれるところです。富野監督による小説版『機動戦士ガンダム』ではアムロが戦死するなど、アニメ版とは大きく異なる展開を見せています。

 それでも、小説版の設定を知ることで、アニメ版では謎に包まれていたララァというキャラクターの新たな一面を発見できるかもしれません。

(マグミクス編集部)

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