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「戦いは数」でファンネル退場? 『ガンダム』オールレンジ攻撃はなぜ衰退したのか

「ガンダム」シリーズの「宇宙世紀」作品を振り返ると、『逆襲のシャア』あたりをピークに、サイコミュ兵器によるオールレンジ攻撃が下火となっていきます。なぜそのような事態になっていったのでしょうか。

無敵のオールレンジ攻撃はどう攻略されていったのか

ファンネルを飛ばし合う戦闘は『逆シャア』がピークだった? 「HG 1/144 サザビー」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ
ファンネルを飛ばし合う戦闘は『逆シャア』がピークだった? 「HG 1/144 サザビー」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ

 アニメ『機動戦士ガンダム GQuuuuuuX(ジークアクス)』で猛威を振るった「オールレンジ攻撃」は、いわゆる「宇宙世紀(U.C.)」を舞台とした「ガンダム」シリーズ作品でも、一時期には戦局を支配するほどの存在感を放っていました。感応波(人間の脳波)による制御システム「サイコミュ」により、敵機の周囲に遠隔攻撃端末を配置し全方位から攻撃する戦術は、強烈な印象を残しています。

 しかし、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』で描かれたU.C.0093年以降は広く普及したという描写もなく、U.C.105年を舞台とする『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』を最後に、ほとんど姿を見せなくなりました。その理由としては、「対応できるパイロットが極端に少ない」ことと、「対策が進化した」ことのふたつが挙げられます。

 まず、オールレンジ攻撃の要となる「ビット」や「ファンネル」を扱えるのは、高度なニュータイプ適性を持つパイロットに限られます。その人数を確保して訓練を積んだ状態で戦場に投入できたのが、U.C.0088年から翌0089年を舞台とする『機動戦士ガンダムZZ』に登場した「量産型キュベレイ」部隊です。1機あたり30基ものファンネルを搭載し、当時としては最強クラスの火力を誇っていました。

 およそ10機が実戦投入されましたが、敵の「ゲーマルク」たった1機に蹂躙され、ほとんどが道連れにされています。ゲーマルクの火力が規格外だったとはいえ、30基のファンネルを最大限に活用できる才能が不足していたのは明らかです。「ネオ・ジオン(ハマーン時代)」内での反乱の切り札とされた部隊でさえこの有様では、通常の正規軍で量産、配備できるものではありませんでした。

 さらに、U.C.0096年が舞台の『機動戦士ガンダムUC』では、オールレンジ攻撃への対策が進んでいました。序盤でネオ・ジオン残党軍(袖付き)の「マリーダ・クルス」搭乗機「クシャトリヤ」が、連邦軍の「ジェガン」タイプ3機と交戦した際には、12基ものファンネルが最終的には封じられています。

 最初の「ジェガン」2機はあっさり撃破されましたが、隊長機の「スタークジェガン」は散弾でファンネルの行動を制限し、使い切った武器をパージして機体を軽量化、さらにコックピットを追加装甲で守っていました。これは、装甲材が改良され、ファンネルでも一撃で貫通できなくなったことを意味しています。

 その後、スタークジェガンは格闘戦に持ち込むことに成功します。格闘しながらファンネルで敵MSを狙撃することは「ハマーン・カーン」のようなトップクラスのニュータイプでなければ難しく、実際にマリーダはファンネルを使えなくなっています。

 一方で、主役機である「ユニコーンガンダム」は、まさにオールレンジ攻撃を無効化する機体です。全身に埋め込まれた「フル・サイコフレーム」は、内部素材そのものが感応波を受信、増幅し、敵ニュータイプや強化人間の感応波を探知すると「NT-D(ニュータイプ・デストロイヤー)」システムを発動させます。この仕組みにより、敵機のサイコミュ兵装が親機から受ける制御信号を強制的に上書きできるのです。

 ユニコーン自体は量産されていませんが、すでに「エースパイロット相手にはオールレンジ攻撃が決定打にならず、むしろ逆手に取られるリスクが高い」という弱点が露呈していたといえるでしょう。

 そして『閃光のハサウェイ』では、「Ξ(クスィー)ガンダム」と「ペーネロペー」に搭載された「ファンネル・ミサイル」が、オールレンジ攻撃としての最後の大きな見せ場を与えられていました。これは、サイコミュで目標へ誘導するミサイル兵器です。電波や赤外線などの電磁波を遮断するミノフスキー粒子散布下でもホーミング攻撃が可能であり、さらに重力下や大気圏内で使いにくかったファンネルの弱点も克服しています。

 ただし、再利用できる通常のファンネルと異なり、ファンネル・ミサイルは使い切りであるうえに、扱えるのは優れたニュータイプだけでした。パイロット不足という根本的な問題は解決できず、コスト面では悪化しています。「戦いは数」という原則の前に、オールレンジ攻撃は退場を余儀なくされたのです。

(多根清史)

【画像8枚】乱舞するファンネル・ミサイル ド派手にやり合うクスィーとペーネロペー

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多根清史

フリーライター。主にゲーム・アニメ・漫画を守備範囲としてきたほか、ここ数年は(個人的なガジェット好きもあり)iPhoneやスマートフォン、インターネットやPCなどハイテク全般の記事も執筆。著書に『宇宙世紀の政治経済学』『教養としてのゲーム史』、共著に『超ファミコン』『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』など。

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