『鬼滅の刃』善逸と伊之助の「目に見えない努力」が最終決戦で花開く?「自己肯定感」と「連携」を高めた2人の物語
『鬼滅の刃』の物語序盤から中盤まで、炭治郎と善逸、伊之助はつねに行動をともにしてきました。物語終盤に近づくにつれて、別々に活躍が描かれることが増えていますが、善逸と伊之助は読者や視聴者にも見えないところで「成長」を重ねていた可能性が考えられます。
アニメ映像で想像できる、善逸の多彩な鍛錬(?)

『鬼滅の刃』の主人公、竈門炭治郎と、同期の鬼殺隊士である我妻善逸と嘴平伊之助は、物語序盤から鬼殺隊の任務をともにし、強敵との戦いを一緒にくぐり抜けてきた仲間です。公開中の映画『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』でも、戦いの場面こそ違うものの、炭治郎と善逸、伊之助はそれぞれの場所での奮闘が描かれます。
一方、固い絆で結ばれたこの3人が、長い間一緒に描かれなかったエピソードが、『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』です。竈門炭治郎が「刀鍛冶の里」に赴き、鬼殺隊の柱である甘露寺蜜璃、時透無一郎、同期の隊士である不死川玄弥と共闘する一方で、善逸と伊之助の姿はほとんど描かれませんでした。炭治郎が「刀鍛冶の里」で活躍していた間、このふたりは何をしていたのでしょうか?
実は、彼らも来るべき最終決戦に向けて着実に力を蓄えていたのかもしれません。
善逸については、「目に見えない努力」が想像できるコンテンツがありました。アニメ『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』の本編開始前に放送された「双六大好き善逸の今日の一振り!」というミニコーナーで、善逸の取り組みの一端を垣間見ることができます。「遊郭編」の後、2か月間寝たきりだった炭治郎が目覚める2日前に任務復帰したという善逸が、さまざまな「お題」に挑戦する姿が描かれています。
善逸は「星を捕まえてくる」というお題に「できるわけがない!」と抗議しながらも、意外にもやり遂げてしまいます。あくまで想像ですが、これは実は、戦場で泣きわめくばかりだった善逸の自己肯定感を高めるためのトレーニングだったのではないでしょうか。また、「人のために何か良いことをする」というお題は「相手の気持ちを考える」修行、「大きな亀に乗って竜宮城に行く」は、危機回避能力を高める訓練と解釈することもできます。
特に注目したいのは、「全力で走る」というお題です。「いつまで走ればいいんだ!」と文句を言いながらも走り続ける善逸の姿には、弱点を克服し、長所をさらに伸ばそうとする決意が表れているようです。
そんな善逸は、「柱稽古編」でも、炭治郎の激励を受けながら厳しい稽古に立ち向かう姿が描かれています。
「遊郭編」での反省から、伊之助のさらなる成長が?
「遊郭編」での戦いを振り返ると、善逸と伊之助は上弦の陸・妓夫太郎と堕姫を相手に奮闘しました。しかし、当初の彼らの戦い方は「協調性」に欠け、妓夫太郎からも「おまえらの動きは統制がとれてねえ」と指摘されています。
戦闘が進むにつれて、善逸が的確な指示を出したり、伊之助の突撃を炭治郎と善逸がフォローしたりと、次第に連携が取れるようになり、最終的にはふたりの力を合わせて堕姫の首を切ることができました。とはいえ、それは偶然の産物とも言える連携でした。
この経験から、特に「連携プレー」の重要性を感じたのが伊之助ではないでしょうか。それまで「野生の勘」を頼りに単独で戦ってきた彼ですが、「無限列車編」での煉獄杏寿郎の死をきっかけに成長し、「遊郭編」でも「何のために修行してきたんだ!!」と自分に問いかけるシーンがありました。
炭治郎不在の間、伊之助は善逸やカナヲ、あるいは村田さんや療養中の宇髄天元とその妻たちとも連携プレーの修行を重ねていたかもしれません。また、「刀鍛冶の里編」に続く「柱稽古編」で、伊之助は炭治郎や善逸に先んじて過酷な柱稽古に飛び込み、鬼殺隊の仲間たちとともに最後の「悲鳴嶼行冥の滝行」に到達しています。一連の柱稽古のエピソードで、伊之助は炭治郎ら隊士たちと食事をともにするシーンが繰り返し描かれます。
「猪突猛進」で孤独な戦いを続けてきた伊之助が、「仲間と一緒に飯を食って語らい、ともに切磋琢磨する」場面は、実は伊之助の成長という点でとても重要なのではないでしょうか。
* * *
登場時からずっと「弱虫キャラ」だった善逸は、意識を失った状態になって真の力を発揮してきましたが、公開中の『無限城編 第一章』では、意識のある状態で、泣きわめくこともなく真顔で「宿敵」と戦うなど、すでに大きな成長を見せています。
伊之助も、『無限城編 第一章』を経て、その先の第二章、第三章で、柱稽古を経た成長と持ち前の猪突猛進な性格が融合した活躍が描かれることが期待されています。「柱稽古編」でさらに加速したふたりの成長は、劇場版『無限城編』3部作で描かれる最終決戦へと結実していくことでしょう。
(マグミクス編集部)