「ビデオデッキ」がなかった昭和アニメファンの「苦肉の策」が衝撃! 令和の現在は「夢のよう」
映像が記録できないなら……当時のファンがアニメを「記録」した驚愕の手法

ビデオが普及する前のアニメファンが楽しんでいたもの、それは「音」です。TV放送をカセットレコーダーで録音していたものでした。当時のアニメファンなら、ほとんどの人が経験しています。
若い世代にはピンと来ないかもしれませんが、ラジオを聴く感覚に近いかもしれません。とにかく昭和世代は音だけが唯一の保存方法だったのです。
当時の人は音だけを聞いていたせいか、劇中のセリフをおぼえる人も多くいました。筆者も、気に入った物語の頭から最後までのセリフを全部おぼえた作品も少なくありません。今思えば記憶容量の無駄遣いです。
こういった風潮はメーカーにも理解され、レコードでも「ドラマ編」と呼ばれるものが発売されていました。これは実際の映像作品の音だけを収録したレコードです。そのなかには、ヒットしたレコードも少なくありません。
たとえば『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち ドラマ編』は、当時の週間レコード売上2位を達成したこともあり、年間売り上げでは41位を記録しています。他のアニメや特撮作品もいくつか販売され、当時のファンたちには喜ばれました。
とはいえ、音だけで絵がないのも寂しいものです。そこで重要だったのが書籍でした。その作品の本を見ながら音を楽しんだ経験は、当時の人なら経験したのではないでしょうか。
思えば『宇宙戦艦ヤマト』をきっかけにアニメブームが起きた際、ほどなくしてアニメ雑誌乱立期が起きました。この時、アニメ雑誌やムックなどでは名エピソードの誌上再録をよく掲載しています。これらが当時のアニメファンの隙間を埋めてくれた貴重なピースでした。
こういった環境にあったがゆえ、昭和世代にとってのビデオデッキは、待ち焦がれた夢の機械だったと思います。それが現在では当たり前に何度も映像を楽しめるのですから、当時を知る者にはこれだけでも夢の時代といえるかもしれません。
(加々美利治)


