「MILLION TAG」に参加する編集者・玉田さん「6組のバトルロイヤルは作家を急成長させる」?
「閉ざされた空間」でこそ漫画家は成長する

ーー今回、「MILLION TAG」に挑戦する人にとっては、どんなメリットがあると思いますか?
玉田 ひとつは優勝者への特典の豪華さですよね。でも、仮に参加するだけでも、急速に成長できるという大きな可能性を秘めていると思います。漫画家さんには、通常のサイクルよりも、大きな負荷がかかるとは思いますが、そのなかでの頑張りが大きな経験値となるので、「変わりたい」と強く願う方にとってはきっと大きなきっかけになるでしょう。
あと、6人の編集者が6人の漫画家と組むことで「ライバル心」が生まれるのも、僕はプラスに働くと思っています。
ーー「ライバル心」について、詳しくお聞かせ下さい。
玉田 「MILLION TAG」では6組のタッグが複数の課題をこなしながら優勝を目指していきます。結果として、お互いに「他のタッグには負けたくない」という気持ちが生まれることでしょう。
現在は紙の雑誌に加えてマンガアプリの利用が進み、以前よりはるかに多くの作品が世に出ています。それでいて、個人で発信がしやすくなった分、同じ雑誌の特定のライバルの存在を意識する場面はあまり多くない。そのような状況のなかで、「6組によるバトルロイヤル」という、ライバルが集う場所はとても貴重だと思うんです。
もちろん、他人を意識することで自分のマンガが変わることもあるでしょう。ライバルのネームを読んで「この人にはアクションでは勝てない」と敗北感を覚えることも、あるかもしれません。しかし、そのなかで「彼らに勝つには、自分の強みをどう活かせばいい?」と考える。そうやって狭い空間で自分と向き合うことで、何をすべきかが見つかると思います。
ーーあえて閉じた空間でマンガを作ることに良さがあるんですね。
玉田 作品のクオリティ上げるには、閉ざされた空間での時間も必要だと思うんですよね。その上で、作品を売るためにどんどん世界を広げていく。そうした漫画家が通るべき“育つ空間”を、「MILLION TAG」で再現できると思います。
ーー先ほど、玉田さんは漫画家を知るためにたくさん質問をするとおっしゃっていました。逆に作品に対して意見やアドバイスをするとき、意識していることはありますか?
玉田 基本的には聞き手に回りますし、アイデアを出す時も単なるダメ出しや「こうしなさい」という命令ではなく、「こうした方がいいと思う」と伝えますね。あと、基本的に僕はアイデアを出す時、「これはあなたのアイデアですよ」と伝えるんです。
僕は、自分のことを漫画家さんの「セカンドブレイン(第二の脳)」であると思っていて、僕の出す意見も、漫画家作家さんとのさまざまな会話を通じて生まれたものです。それはある意味、漫画家さんがまだ言葉にできていない思いを形にしたものなので、僕の意見ではないと考えています。
ーー「MILLION TAG」では漫画家だけでなく、編集者の仕事ぶりも配信されます。マンガ編集者の仕事で、注目してほしい点はありますか?
玉田 そうですね……正直、あまり「編集者を見て!」とは思っていませんが、強いて言えば、これから組む漫画家さんとどういう関係性を築いていくのかを見てほしいです。そして、漫画家の皆さんには僕を「第二の脳」として、存分に使ってほしいと思います。
ーーどんな方とタッグを組みたいですか?
玉田 僕は少年マンガを作りたいと考えています。少年マンガにはアクションや強い感情の要素が強いので、バトルや感情表現に興味がある方がいいですね。資質の面では、スピード感のある方がいいですね。なにせ、短期間のチャレンジですので、試行錯誤を早いサイクルで回せる方が、有利ではないかと思います。
ーーありがとうございます。最後に「MILLION TAG」に注目する読者の方々へひとことお願いできますでしょうか?
玉田 「MILLION TAG」は、新しいタイプの作品の楽しみ方だと思います。今回の企画で、皆さんのなかで「推し」のタッグ生まれることでしょう。ふたりが作品の裏側でどういうふうに頑張っているのか、そして産みの苦しみを経てマンガが生まれるまでの過程を見て、楽しんでもらえれば嬉しいです。
(サトートモロー)
※「MILLION TAG」は、2021 年 3 月 21 日(日)まで挑戦者を募集しています。詳細情報は公式サイト(https://sp.shonenjump.com/p/sp/million-tag/)に掲載。マグミクスでは、引き続き「MILLION TAG」に参加予定の編集者の声を紹介していきます。