声優・福山あさきさんに聞く、映画『カラミティ』の魅力と主役抜擢までの道のり
「通行人役」から「主役」への大抜擢

──今回のマーサ・ジェーン役は、スタジオオーディションを受けて合格されたという流れなのでしょうか?
福山 吹き込んだ音声を送って選んでもらう、テープオーディションの形でした。
──同席されている金子マネージャーに、選ばれた経緯をうかがってもよろしいでしょうか?
金子マネージャー(以下、敬称略) 多くの候補者の中から、最終的に5名を絞り込んだようですね。その中に福山がいて選ばれたという流れです。精神的に自立した強い女性だけれども、家族想いで優しいところも演じられる、そういったさまざまな面が考慮されたようです。
──2020年8月に公開された『マロナの幻想的な物語り』の日本語吹替版で、福山さんは通行人役をつとめていました。そこから一足飛びに主役に大抜擢されたとは思えない、素晴らしい演技力に驚かされました。
金子 唯一の心配は、福山の経験の乏しさではなく、マーサのように誰かを罵倒した経験がない点でした。同性の目から見ても、普段から本当に性格が良いですから。
福山 音響監督さんにも、「人を罵ったことがないですね」と見抜かれました。本当にそうなのでどうしようと思っていたら、金子さんが「私は罵倒し慣れてるから、分からないならやり方を教えてあげる」とおっしゃってくれて(笑)。それで、すごく楽になりました。
──映画の主演というのは、作品の出来を左右しかねないほど責任重大です。長年夢見ていたことが実現してマイクの前に立たれた時、緊張はしませんでしたか?
福山 言葉にできないほどのプレッシャーがありました。去年の夏に事務所に所属させていただいた時には、比較的チャンスを多くいただけるアプリゲームで名前付きの役をひとつ、出来ればふたつ勝ち取るのが目標だったんです。それがいきなり、こんな大きな作品の主演という話で、台本を開くと自分の名前が杉田智和さん(アブラハム役)や上田燿司さん(イヴの父役)のお名前と一緒に並んでいますし……最初は信じられない気持ちでいっぱいでした。
──金子マネージャーによると、レミ・シャイエ監督にも福山さんの日本語吹替版は見てもらっていて、「ベリーグッド!」というリアクションが帰ってきたんだとか。
福山 嬉しい……本当に嬉しいです……!
(取材/構成:香椎 葉平)
※福山あさきさんへのインタビュー後編は[こちら]
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