1stガンダムの異色作『ククルス・ドアンの島』映画化の理由 マンガ版の映像化は「勘違い」
これまであまりクローズアップされてこなかった「ファーストガンダム」の1エピソード『ククルス・ドアンの島』。カルト的人気のあったこのエピソードが映画化される理由は、意外なところにありました。
ファンに衝撃を与えた映画化の第一報
先日、今後の「ガンダム」シリーズに関する発表がサンライズからありました。TVアニメの最新作『機動戦士ガンダム 水星の魔女』、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』特別編(全9回)のTV放送、そして2022年劇場公開予定の映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』です。
このなかで筆者、また多くのガンダムファンが驚いたのが劇場版『ククルス・ドアンの島』でした。その反響は大きく、他の発表がかすむほど。なぜなら『ククルス・ドアンの島』はいろいろな意味で印象深いエピソードだからです。
シリーズ第1作『機動戦士ガンダム』の第15話が「ククルス・ドアンの島」でした。みなさんご存じの通り、『機動戦士ガンダム』はそれまで1話完結が当たり前だったロボットアニメと異なり、連続したストーリー展開で物語が進行しています。しかし、第13話「再会、母よ…」、第14話「時間よ、とまれ」と、この第15話だけは1話完結の形をとっていました。そのため、後のTV版を再編集した劇場版ではアムロと母の別れという重要な要素になる13話だけ使用され、14話と15話は完全にカットされています。
そういった経緯から番外編的な扱いをされていた15話ですが、一部にはカルト的な人気のあるエピソードでもありました。ククルス・ドアンというキャラクターの魅力。メインとなる戦場でないがゆえにわかる戦争の起こす悲惨さ。……そういった比較的好意的な意見のほかに、「メカの作画崩壊」というネタ的な取り上げ方までさまざまです。
こういう硬軟両面で注目されている15話ですから、この令和の時代になってからの映画化は作品を知るファンにとってはまさに「青天の霹靂」でした。筆者もあまりの驚きに頭がグルグルして、他の情報が頭に入らなかったほどです。
しかも監督は『機動戦士ガンダム』でキャラクターデザインを担当していた安彦良和さん。期待値は無限大です。ちなみに安彦さんといえば、多くの人がマンガ『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』を思い出すことでしょう。アニメにもなった『ORIGIN』版にならった『ククルス・ドアンの島』になるのではないか? と想像したことと思います。
少し解説すると、実はマンガ『ORIGIN』では『ククルス・ドアンの島』は描かれていません。このことに関して安彦さん自身は「捨て回に過ぎないが、いい話だと思う」というコメントを残しています。