「ジャンプ」の王道展開、敵が味方に! グッとくるシーン4選
「陽の光に満ちた世界を走ってみよ!」
●『ドラゴンボール』天津飯への亀仙人の説得
『ドラゴンボール』は、かつての敵が仲間になることが多いマンガですが、そのなかでも天津飯が改心するきっかけのエピソードは感動的でした。亀仙人のライバル・鶴仙人のもとで学び、殺し屋を目指していた天津飯は、天下一武道会の準決勝で亀仙人が変装した姿のジャッキー・チュンと戦うことになります。自分と互角以上の強さを見せる天津飯の実力を見た亀仙人は、戦闘中に彼を説得する言葉をかけました。
「おぬしそれほどの技をなぜ正しき道に使わぬのじゃ!(中略)安易な悪の道からぬけだせ!陽の光に満ちた世界を走ってみよ!」
その言葉に動揺した天津飯は少し技のキレが落ちますが、それでも強さは相変わらず。すると、亀仙人は天津飯の強さを喜び、「明るい道を歩んで大物になれよ!」と言い残して自ら退場し、敗退します。
その後、チュンが亀仙人だと気づいた天津飯との会話でも、亀仙人は彼が悪人ではないことを確信していました。
そして、天津飯は悟空との決勝戦でも卑怯な手を使おうとする鶴仙人に、「殺し屋にはなりたくない」と気持ちを吐露し、師匠と決別します。天下一武道会後すぐに仲間になるわけではありませんが、天津飯は「明るい道」へと進み始めるのでした。
●『トリコ』三虎と一緒に食事をしようとするトリコと小松
グルメバトルマンガ『トリコ』に登場する、優れた食材を独占しようとする悪の組織「美食會」のボス・三虎。彼はかつての伝説の美食屋・アカシアの三番弟子であり、過去の悲しい体験からいくら美食を口にしようとクスリともしない孤独な男でした。物語中盤、彼は兄弟子の一龍と戦ったのち、その恐るべき力で人間界の食料を枯渇させてしまいます。
しかし、そんな男に対して、主人公コンビのトリコ(美食屋)と小松(料理人)は、底抜けの優しさを見せました。小松は他の料理人たちと一緒に「美食會」によって誘拐されますが、そこで腹を空かせた三虎のために数々の料理を振舞い、久しぶりに三虎を笑わせます。
さらに、小松を迎えにやってきたトリコは、伝説の「アカシアのフルコース」を見つけたら三虎に分け与えることを約束しました。そんなふたりは共通して、三虎に「一緒に食事をする」ことを提案するのです。
その後、三虎は最終決戦でついにトリコたちのもとへ現れ、一緒にラスボス「ネオ」と戦います。そして、最後の最後に自身の罪を償い、大切な人びとと再び食卓を囲んだことにより、彼の魂は救われるのでした。三虎にまつわる数々のエピソードは、「食材は分かち合うもの」という作品のテーマとも直結しており、涙なしでは読めません。
(マグミクス編集部)