『花の慶次』で戦国武将たちが残した名言4選 シビレるような器の大きさと人間味
隆慶一郎氏の小説を麻生未央氏が脚本を務めて原哲夫先生がマンガ化した『花の慶次-雲のかなたに-』は、戦国最強のいくさ人にして傾奇者の前田慶次の活躍を描いていますが、同作では慶次以外の登場人物も印象的な名言を残しています。今回は『花の慶次』に登場した実在の武将たちの言葉を紹介します。
最高に美しい信長の最期

戦国最強の傾奇者(かぶきもの)、前田慶次の大活躍を描いた人気マンガ『花の慶次-雲のかなたに-』には、主人公以外にもたくさんのかっこいいキャラが登場します。今回は、実在の武将たちが『花の慶次』で残した、印象的な名言を紹介します。
●奥村助右衛門「生に涯はあれど名に涯はなし!!」
前田家の家臣にして、慶次の少年時代からの無二の友・奥村助右衛門は、慶次に負けず劣らずの武人として活躍した人気キャラでした。特に初登場時の、末森城が佐々成政の軍に囲まれた時に家来たちに放ったセリフは有名です。
「生に涯(はて)はあれど名に涯はなし!!この一戦こそわれらいくさ人のひのき舞台だぞ!!」
「死に瀕した危機的状況こそ武人として最も輝ける場所」という、歴戦の武将らしい心意気が詰まった名言です。満身創痍だった家来たちも、一気に士気を取り戻します。しかも、助右衛門はその前に常人なら気を失うほどの大量出血を隠しながら陣頭指揮を執り、その後も怪我をおして慶次と一緒に敵兵に小便をぶっかけるなどの超人ぶりを見せていました。身体の強さはもちろん、将としての精神力・責任感もかっこいいです。
●織田信長「すべての終りは すべての始まりでしかない」
作中ではすでに故人となっていますが、『花の慶次』の織田信長はさまざまなキャラの回想で出てくる「理想の戦国武将」として描かれています。特に慶次が戦った、甲斐の忍(しのび)の達人・蝙蝠(こうもり)が回想で語る、織田信長の最期は実に美しい死に様でした。
「本能寺の変」にて、信長は敵に首を渡すまいと自ら寺に火を放ちます。そして、首を狙いに来ていた蝙蝠から「随分とあきらめがいいじゃありませんか?」と言われた信長は、不敵に笑うと「すべての終りは すべての始まりでしかない」「ならば死ぬべき時に死なぬは恥さらしなだけよ」と言うのです。
戦国に生きる男として、自らの死も当たり前のように受け入れ、新時代が始まるのを楽しみにしているようにすら見える表情に、蝙蝠も読んでいる側も最高にしびれました。火だるまになりながらも、「わしの首欲しくば地獄までともをせい!!」とほほえむ姿のかっこよさ。秀吉や佐々成政が死後も敬愛するのも納得です。