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『スパロボ』戦闘アニメの歴史を振り返り 30年かけて進化した「原作再現度」に驚く!

誕生から31年を迎えたシミュレーションゲーム『スーパーロボット対戦』。人気ロボット作品が共演する「スパロボ」シリーズの戦闘アニメに注目し、表現力や演出面の進化を振り返ります。

長い年月をかけて熟成した『スパロボ』の2D戦闘アニメ

スーパーファミコンで発売され、人気を博した『第3次スーパーロボット大戦』画像はPlayStation版(バンプレスト)
スーパーファミコンで発売され、人気を博した『第3次スーパーロボット大戦』画像はPlayStation版(バンプレスト)

 ロボットアニメ作品が垣根を超えて集結するシミュレーションゲーム『スーパーロボット大戦』(以下、スパロボ)。2022年4月20日で31回目の誕生日を迎えた同シリーズの魅力は色々と考えられますが、とりわけ作中でも目を引くのが「各ユニットの戦闘アニメーション」ではないでしょうか。

 ユニット同士の戦闘時に見ることができる戦闘アニメでは、各ユニットが躍動感あふれるモーションで敵ユニットへさまざまな技を叩き込みます。この記事では、「スパロボ」シリーズの戦闘アニメに焦点を当て、演出面の進化を大まかに振り返ります。

●まだまだ表現力が控えめだったシリーズ初期

『スーパーロボット大戦』および『第2次スーパーロボット大戦』などのシリーズ最初期においては対応ハードがゲームボーイやファミコンだったこともあり、戦闘アニメの演出面もシンプルなものに留まっていました。

 現在の「スパロボ」シリーズで見られるようなキビキビと動く戦闘アニメはまだまだ先の話。ビームライフルやバズーカ(ともにガンダム系の武装)を使ったとしても、立ち状態のユニットから敵方向へエフェクト(弾丸や光球など)が飛んでいくのみで、ビームサーベルなどで斬りつけた場合も同様、敵ユニットの上から斜めにラインが入る程度に抑えられていました。

 とは言え、演出面が全く進化しなかったわけではありません。対応ハードがスーパーファミコンへ移ると(第3次~第4次)、技を発動した際のエフェクトが豪華に、そして近接武装を選んだ際に敵ユニットへ近づく動作が加わったのです。

 顕著なもので言えば、魔力で生み出した火の鳥をぶつける「アカシックバスター」(サイバスター)など、「ユニットはそこまで動かないけれど、画面演出で変化をつけた武装」が多く見られるようになりました。

●『スパロボα』でターニングポイントを迎える

 広義の意味で「スパロボ」シリーズのターニングポイントとなったのが、2000年発売の『スーパーロボット大戦α』(以下、スパロボα)です。シミュレーション部分の根幹をなす数々のゲームシステムが改修されて遊びやすくなったのはもちろん、目に見えて大きく進化したのは戦闘アニメ。具体的に述べると、「ユニット自体のモーション数が増えた」ことが第一に挙げられます。

 敵ユニットへ接近する際に大きく踏み込む、近接武装でなぎ払うといったモーションをはじめ、「マクロス」系のホーミングミサイルは、「目標へ向かって各ミサイルが軌道を微調整しながら突き進む」というこだわり具合。「マクロス」シリーズ本編で見られた「板野サーカス」と呼ばれる演出を、戦闘アニメで見事に再現していました。このように表現力が洗練されていくにつれ、「スパロボ」シリーズでは戦闘アニメの観点からも原作再現度の高さがよりうかがえるようになりました。

 そのほか、搭乗キャラクターのカットイン演出や、利便性を向上させるための戦闘アニメスキップ機能……などなど、話題に事欠かなかった『スパロボα』。同作を皮切りに「スパロボ」シリーズの戦闘アニメは大幅に刷新され、携帯ゲーム機向けのシリーズタイトルでも家庭用ゲーム機版と類似した演出が増加。以降、現行のシリーズタイトルで見られる戦闘アニメの礎が少しずつでき上がっていきました。

●アニメーション挿入でディティールアップ

 長い年月をかけて進化した「スパロボ」シリーズですが、近年の戦闘アニメは参戦作品の本編から映像を引用し、別の角度から原作再現にアプローチをかけている事例が多い印象です。

 2Dグラフィックのユニットが画面内を所狭しと動き、トドメの一撃に合わせて本編の特徴的なワンシーンを持ってくる……。単なるキャラクターのカットインに留まらない表現手法は、戦闘アニメのクオリティを大きく底上げしたように思われます。

 過去タイトルから戦闘アニメを流用した場合でも部分的にモーションなどを作り変えたり、原作では一瞬しか映らないシーンでも戦闘アニメ中に再現を試みたりと、開発陣のこだわり具合も健在。また、久しく参戦していなかったユニット(ファーストガンダムなど)の復帰が決まり、戦闘アニメが最新作に合わせてリファインされるといった古参の「スパロボ」ファンにとってうれしい出来事も見受けられました。

 戦闘アニメは「スパロボ」シリーズの醍醐味であり、参戦機体が生き生きと活躍する大切な晴れ舞台。興味のある方は、各シリーズタイトルの戦闘アニメを見比べてみてはいかがでしょうか。

(龍田優貴)

【画像】進化の転機となった『スパロボ』(4枚)

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