「スパロボ」の原作改変で救われたロボットアニメのキャラたち 逆に「不幸」な結末も…
ゲーム『スーパーロボット大戦シリーズ』の醍醐味のひとつに、原点であるアニメではなかった予想外の展開があります。それはいくつもの作品がクロスオーバーすることで生み出されました。ファンは「スパロボ補正」と言うそうです。
スパロボならではの救済処置
ゲーム『スーパーロボット大戦』シリーズ(以下スパロボ)で話題になることのひとつに「原作改変」があります。不幸な結末に終わったロボットアニメの物語を、オリジナル展開でハッピーエンドに終わらせることなど。いわば『スパロボ』の醍醐味と言われる展開です。
『スパロボ』は、いくつものロボットアニメ作品がクロスオーバーしてシナリオを進めていくシミュレーションゲーム。この夢の共演がファンにもっとも注目されている部分です。そして夢の共演の結果、本来のアニメとは違った流れになり、原典とは異なった物語を生み出しました。それが原作改変へと導くわけです。
キャラ的な部分で例を挙げると、『新世紀エヴァンゲリオン』の主人公である碇シンジがもっともわかりやすいかもしれません。アニメではネガティブで、周囲の状況に流されて不幸を一身に背負っているようなシンジですが、それも周囲に頼れる人間が少なかったことが原因で、精神的な成長ができなかったことにあります。
ところが『スパロボ』では、周りは理解力のある大人や心を開くことのできる同年代の友人が多くいて、支えられることで本来ならありえなかった成長を遂げることができました。ファンから、シンジは『スパロボ』に来てもっとも救われたキャラに上げられることの多い人物です。
このように相互協力の形で、本来出会うことのなかったキャラ同士の交流によって救われる展開が『スパロボ』の魅力のひとつと言えるかもしれません。
キャラで言えば、アニメでは非業の死を遂げた者に生存の道がある点も『スパロボ』の救済のひとつです。『機動戦士Ζガンダム』のフォウ・ムラサメ、『機動戦士ガンダムUC』のマリーダ・クルス、『機動戦艦ナデシコ』のダイゴウジ・ガイなどは、登場した『スパロボ』のほとんどで生存ルートが設けられていました。
また、『機動戦士Ζガンダム』のエマ・シーン、カツ・コバヤシ、『機動戦士ガンダムΖΖ』のエルピー・プルなど、アニメで死亡しているキャラでも普通に生存して仲間にいることが当たり前になっている者もいます。
こういった流れのなか、アニメでは最終回で精神崩壊してしまったカミーユ・ビダンも、それがイベントとして登場することも少なく、最後までプレイヤーが使えるようになっていました。しかもTVアニメで見せていたようなエキセントリックな行動も、ほとんど描写されていない優等生キャラとなっています。
こういった優遇処置のことを「スパロボ補正」と、一部のファンの間では言われていました。