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ジャンプ主人公とは思えないほど凶悪! 『封神演義』太公望の卑怯エピソード4選

中国の明の時代に成立した神怪小説をベースに、藤崎竜先生がバトルアクションファンタジーマンガとして描いた作品『封神演義』。その主人公・太公望は知恵を使い数々の勝利を手にしてきました。しかし、その手口は正直、卑怯に見えることも。今回は「ジャンプの主人公」としてそれはいいのかと言いたくなるようなエピソードを4つ紹介します。

良く言えば頭脳派だが……太公望の卑怯な手口

道士・太公望はジャンプ主人公とは思えぬ卑怯者? 『封神演義』アニメビジュアル (C)安能務・藤崎竜/集英社・「覇穹 封神演義」製作委員会
道士・太公望はジャンプ主人公とは思えぬ卑怯者? 『封神演義』アニメビジュアル (C)安能務・藤崎竜/集英社・「覇穹 封神演義」製作委員会

 中国の明の時代に書かれた神怪小説をもとに、1996年から2000年まで「週刊少年ジャンプ」で連載された、藤崎竜先生のバトルアクションファンタジーマンガ『封神演義(ほうしんえんぎ)』。主人公の道士・太公望(たいこうぼう)は崑崙(こんろん)一の頭脳を持つ策士なのですが、その知略から手にした勝利のなかには、卑怯ともいえる手口のものもありました。今回は、主人公らしからぬ(?)太公望の卑怯な勝ち方のエピソードを振り返ります。

●宿敵・妲己に近づくため、妹・王貴人を「いわし占い」で撃破

 宿敵・妲己(だっき)が巣食う殷(いん)の王宮へと潜入する手段を探していた太公望の前に現れたのは、彼女の妹・王貴人(おうきじん)です。琵琶の妖怪である王貴人と対峙して力の差を感じた太公望は、最後に占いをさせてほしいと言って彼女を油断させ、打神鞭(だしんべん)で火を起こし、さらに油断をしたところで一撃を繰り出して撃破します。そして、琵琶の姿となった王貴人を手に入れた太公望は、宮廷音楽家として王宮への侵入を成功させるのでした。

 大事な妹を琵琶にし、「この琵琶は叩けば不思議な声を上げる」などと言って紂王(ちゅうおう)の興味を引いて近づいてきた太公望に。結果、妲己はそれを見て怒り、さらなる頭脳戦をけしかけ、最終的に恐ろしい事態になってしまうのですが……。道の力を占いとして使い、油断をさせて相手を撃破する当たり、なかなかの卑怯者です。

●難民を逃がすため、わざと嫌われ役になる?

 天才道士・楊ぜん(ようぜん)は、太公望がどれほどの人物なのかを確かめるため、関所を開けて「殷の難民を逃がしてあげてください」とテストを出します。すると、お前はそんなに偉いのかと激怒した太公望は、関所と話をつけてやると大手を振っておいてあっさりと捕まるという醜態をみせるのです。

 難民から石を投げられる太公望を見て、自分が従えるに値しない男だと思った楊ぜんは変化の術で黄飛虎(こうひこ)に化け、妲己から門を開けるよう命じられたと嘘をつきます。これで無事関所が解放され難民を逃がすことができるかと思いきや……太公望はその黄飛虎は偽物だと大騒ぎし、さらなる醜態を見せました。

 実は、太公望は楊ぜんを使ってこのミッションをクリアしようと知恵をめぐらせ、わざと捕まったのです。これに気づけなかった楊ぜんは太公望を認め、彼に力を貸そうと決めるのでした。トータルで見ると、太公望が自分が敢えて悪者になったかっこいいエピソードではあるのですが、グルグル巻きにされて横たわり、横で相棒の霊獣・四不象(すーぷーしゃん)が泣いている絵面はみっともなさすぎます。

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