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40年前のアニメを代表する「挿入歌」 主題歌でなくても、歴史を変えた傑作曲

アニメと歌の歴史に忘れられない名曲は?

「嗚呼!逆転王」も収録されたベストアルバム『タイムボカン 名曲の夕べ』(JVCエンタテインメント)
「嗚呼!逆転王」も収録されたベストアルバム『タイムボカン 名曲の夕べ』(JVCエンタテインメント)

 続いては『タイムボカンシリーズ 逆転イッパツマン』の挿入歌「嗚呼!逆転王」。本作の主人公ロボである逆転王のメインテーマ曲です。

『タイムボカンシリーズ』といえば、ギャグ満載のドタバタコメディのイメージがありますが、本作の主人公であるイッパツマンこと豪速九(ごう・そっきゅう)はいたって真面目な人でした。シリーズのマンネリ化を打破するべく、シリーズでもっともシリアスな雰囲気が強い作品となっています。

 この「嗚呼!逆転王」ですが、実は逆転王に使われたシーンではメロオケがほとんどで、ボーカル入りが使用されたのは一度きりというレアな曲でした。しかし、本格的に使われたのは逆転王が破壊されて、2号ロボである三冠王の登場後だったのです。

 三冠王の登場後、「逆転王」の部分を「三冠王」に変えた別バージョンの「嗚呼!逆転王」が使われるようになりました。「嗚呼!三冠王」とも呼ばれるこのバージョンは劇中でひんぱんに使用され、ファンからは独創的な歌詞とテンポのいい曲調が高評価を得ます。

『タイムボカンシリーズ』ですから、作詞、作曲、歌手は山本正之さん。(歌手の名義はやまもとまさゆきさん)個人的には山本さんの作った曲の中では一、二を争うくらい好きな曲です。独特の歌詞に注目したファンも多くいました。

 ちなみに、この「嗚呼!三冠王」は正式な挿入歌としてソフト化されていません。なぜなら、この歌は山本さんがアフレコスタジオで、即興で歌ったからだそうです。ある意味で「幻の挿入歌」と言えるかもしれません。ちなみに、カラオケで「嗚呼!逆転王」を入れて、「嗚呼!三冠王」で歌う人は多く見受けられます。

 最後にご紹介するのは『超時空要塞マクロス』から劇中のアイドルであるリン・ミンメイのデビュー曲「私の彼はパイロット」。歌はミンメイの声優を務めた飯島真理さんです。

 それまでのアニメ作品でも歌手を題材にした作品は多くありましたが、この作品をきっかけに劇中の歌手を商品のひとつとしてプッシュするという方法がアニメでも使われるようになりました。その点では、現在のようなアニメと音楽でメディアミックスするようになったきっかけと言えます。

 しかし、本作はメカをセールスするロボットアニメで、それほど音楽面には大きな比重が置かれていませんでした。実際、「私の彼はパイロット」は単品として発売はされておらず、放送中にサウンドトラックLPのなかの一曲として他のミンメイの曲と一緒に収録されたのみです。しかも当初は1番のみが作られた1分ほどの曲でした。

 ところが作品としての人気、試みの目新しさといったものが加味され、アニメファンの注目を浴びることになります。一部のファンには曲はもちろん、振り付けまでも覚えるというコアな層も現れ、アニメの音楽における革命的な曲となりました。

 前述しましたが、アニメにおける音楽との関係性はもともと深いものでしたが、「私の彼はパイロット」がきっかけに、それまでと違った新たな可能性が模索されることとなったわけです。その点では今に至るアニメと音楽の密接的な関係の始祖と言えるかもしれません。

 以上が40年前の1982年に印象的だったアニメの挿入歌3曲です。この年代を知るファンなら、多くの人が3曲とも歌えるのではないでしょうか?

(加々美利治)

【画像】リン・ミンメイの曲をカバーした『マクロス』歌姫たち(5枚)

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