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40年前のアニメを代表する「挿入歌」 主題歌でなくても、歴史を変えた傑作曲

アニソンと言えば主題歌はよく思い出せますが、挿入歌は意外と思い出せないものが多いもの。しかし、心に残る挿入歌はいつの時代もあるものです。そこで、40年前に印象的だった挿入歌を3曲ご紹介します。

1982年という時代を代表するアニメの挿入歌

「私の彼はパイロット」も収録された『超時空要塞マクロス』のサウンドトラック『超時空要塞マクロス マクロス Vol.II』(JVCエンタテインメント)
「私の彼はパイロット」も収録された『超時空要塞マクロス』のサウンドトラック『超時空要塞マクロス マクロス Vol.II』(JVCエンタテインメント)

 歌はアニメとは切っても切れない関係にあります。しかし、TV番組のアニメ特集でも使われる曲はだいたい主題歌だけ。確かに主題歌は放映では必ず使用される作品の顔ですが、普段はあまり使用されない挿入歌にも時には作品を印象づける名曲が多くありました。

 そこで筆者が印象的だった挿入歌について振り返ってみたいと思います。ちょうど40年前の1982年に放送された作品から3曲お届けしましょう。

 1982年頃は、レコード会社の広告がどのアニメ雑誌でも大きく掲載されていた時代です。まだビデオもそれほど普及していなかった時代ですから、アニメファンにとって音に関する販売物はレコード(カセットテープ)がメインでした。この頃のアニメファンなら、ほとんどの人が何かしらの作品のレコードを買ったことがあるのではないでしょうか?

 この年のアニメ挿入歌で筆者がもっとも記憶に残っているのが『戦闘メカ ザブングル』の「HEY YOU」。後半の戦闘シーンで主に使われていた曲です。歌手はMIOさんで、彼女のデビュー曲になります。

 明るくノリのいい曲調で、歌詞も秀逸でした。それもそのはず、歌詞は井荻麟さん、富野由悠季監督の作詞家としてのペンネームです。つまり、もっとも作品世界に精通した作詞家でした。

 歌詞を聞いていると、男勝りの女性視線なことが分かります。おそらく劇中の女性キャラであるラグ・ウラロの視点から書かれているのでしょう。そうすると、歌詞のなかで登場するもうひとりは主人公のジロン・アモスと考えられ、作品に合わせたストーリー性のある歌詞だと考えられます。こういったドラマ仕立ての歌詞は富野監督の十八番とも言えて、ラグの心情を歌った名曲だと考えられませんか?

「HEY YOU」がラグのイメージだとすると、カップリング曲である「わすれ草」はもうひとりのヒロインであるエルチ・カーゴを思い起こさせます。そう考えると、ダブルヒロインの心情を歌に乗せた曲がファンの心をつかんだのも納得と言うもの。

 そして、デビュー曲でいきなりパワフルなイメージをファンに与えたMIOさんは、いわゆるアニソン歌手として期待の新星でした。翌年に開催されたアニメ雑誌「アニメージュ」主催の「アニメグランプリ」第6回では、それまでトップを独占していた堀江美都子さんを抑えて女性歌手第1位の座を手にしています。

 この後、MIOさんは劇場版である『ザブングル グラフィティ』でも「GET IT!」と「Coming Hey You」を歌っていました。この他にも『ザブングル』の後番組となる『聖戦士ダンバイン』、『重戦機エルガイム』ではオープニング曲とエンディング曲を担当しています。

 井荻麟こと富野監督が作った詩を、MIOさんのパワフルボイスで聞かせる名曲の数々は、この時代のアニメファンには忘れられない印象的な歌でした。

【画像】リン・ミンメイの曲をカバーした『マクロス』歌姫たち(5枚)

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