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アニメ化されなかったジャンプマンガの名作たち ファンが望みを捨てなければ可能性ある?

現在ならアニメ化のチャンスがある?

 永井豪によるギャグマンガ『ハレンチ学園』は、1970年に実写ドラマ化された。画像は「ハレンチ学園 コレクターズDVD <デジタルリマスター版>【昭和の名作ライブラリー 第32集】」(TCエンタテインメント)
永井豪によるギャグマンガ『ハレンチ学園』は、1970年に実写ドラマ化された。画像は「ハレンチ学園 コレクターズDVD <デジタルリマスター版>【昭和の名作ライブラリー 第32集】」(TCエンタテインメント)

 その後、1984年に400万部を突破。1989年には500万部を突破して勢いが止まらない「ジャンプ」では、続々と人気作品のTVアニメ化がされていました。しかし、この時も人気がありながらもアニメ化されなかった作品がいくつかあります。

 そのひとつが『空のキャンバス』(1986年33号~1987年41号)でした。飄々とした主人公にラブコメ要素もあった作品でしたが、その真骨頂は「泣き」からの「感動」にあったと筆者は思います。当時はなんでアニメ化しないの?と思った方は他にも多くいたことでしょう。

 作者の今泉伸二先生は、この後も『神様はサウスポー』(1988年22号~1990年31号)という名作を描いていますが、こちらも多くのファンを生んだ名作でした。しかし、この作品もアニメ化はされず、当時のジャンプ連載陣の層の厚さがうかがえます。

 アニメ化に恵まれなかったというと、「ジャンプ」誌上でいくつかの名作を生み出した巻来功士先生もそのひとりでした。代表作である『ゴッドサイダー』(1987年24号~1988年51号)は当時の人気作で、ゲームソフト『ファミコンジャンプ 英雄列伝』(1989年2月25日発売)にも登場しています。しかし、現役主人公8人のなかで唯一、現在のところアニメ化されていません。

 その理由を考えると、スプラッタやエロチックな描写が多く存在するので、当時まだ深夜枠というものが定着していない時代ではTVアニメ化は難しかったのでしょう。しかし、作品に対して根強いファンは多く、その後に何度か青年誌で続編が作られています

 逆にTVアニメ向きな作品だったのにそうならなかった人気作品が、にわのまこと先生の『THE MOMOTAROH』(1987年42号~1989年50号)でした。コメディ色の強いプロレスマンガということで、アニメファンから期待されていた作品です。なかにはアニメ化より先に同人誌を作るファンたちがいました。

 もっとも、この時期は「ジャンプ黄金期」の絶頂の頃で、数年後の1991年3・4号で602万部を突破しています。この時の連載作品19本中、後にアニメ化された作品も含めると13本がアニメ化作品。約2/3がアニメ化されているのですから、人気が高いだけではアニメ化は難しかったのかもしれません。

 しかし昨今のアニメ化事情を振り返ると、まだチャンスはあるのではないか?……そう考えられます。それは連載終了から何年も経過してからアニメ化される作品がいくつかあるからでした。

 たとえばジャンプのアニメ鎖国期に人気看板作品だった『リングにかけろ』(1977年2号~1981年44号)は、OVAで好セールスになった『聖闘士星矢』(1986年01/02号~1990年49号)の影響で、2004年にTVアニメ化されています。この同時期の2005年に『プレイボール』(1973年27号~1978年31号)もTVアニメ化しました。

 近年では、人気がありながらも長らくTVアニメは無理だと思われてきた『ジョジョの奇妙な冒険』(1987年01/02号~1999年17号)も全シリーズがTVアニメ化されるのではないかという勢いで、連載時に優るとも劣らない高い人気を誇っています。

 このように深夜枠、ネット配信といったアニメの視聴方法が増えたことで、かつてアニメ化されなかった作品が復活する可能性が出てきました。ひょっとしたら上記に挙げた作品群のなかにも秘かに進行しているものがあるかもしれません。

(加々美利治)

【画像】実写化覚えてる? アニメ化されなかったジャンプの名作マンガ(4枚)

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