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2022年も映画界を盛り上げたのは「劇場アニメ」 『スラダン』『すずめ』も100億を狙う?

フェチ要素は控えめの『すずめの戸締まり』

『すずめの戸締まり』ポスタービジュアル (C)2022 「すずめの戸締まり」製作委員会
『すずめの戸締まり』ポスタービジュアル (C)2022 「すずめの戸締まり」製作委員会

 ナイーブな世界を描く新海誠監督のオリジナル作品『すずめの戸締まり』は、同じく東宝とタッグを組んだ『君の名は。』(2016年)の250.1億円、『天気の子』(2019年)の141.9億円に続き、100億円の大台に迫っています。

 2011年に起きた東日本大震災を今回はストレートに扱っていることから、観賞することを躊躇した人も少なくなかったようです。小説『すずめの戸締まり』を読むと、あとがきで新海監督は38歳のときに起きた東日本大震災が「四十代を通じての通奏低音となった」と記しています。

『君の名は。』では巨大隕石の落下、『天気の子』では異常気象と、異なる形の自然災害を描いてきた新海監督ですが、意を決して真正面から震災に向き合ったのが『すずめの戸締まり』でした。

 そんな新海監督の真摯な姿勢が受け入れられ、興収も堅調に伸びています。『君の名は。』の「口噛み酒」的なフェチ要素は控えめで、賛否が割れた『天気の子』よりも万人に受け入れられやすい結末となっています。これを新海監督の成熟と受け取るのかどうかは、作品を観賞した人次第でしょう。

 ディザスター三部作を作り終えた新海監督は、東宝とタッグを組んだブロックバスタームービーをさらに作り続けるのか? それとも『秒速5センチメートル』(2007年)のようなインディペンデント的スタイルに戻るのか? 新海監督の今後の動向にも注目が集まります。

批判の声を打ち消した『THE FIRST SLAM DUNK』

 TVアニメ版から声優陣が一新されたことが大きな波紋を呼んだ『THE FIRST SLAM DUNK』ですが、公開が始まると評価が一変しました。湘北高バスケ部とインターハイV3を狙う山王高との全国大会2回戦の攻防が、最新の3DCG技術によってリアリティたっぷりに描かれていたのです。試合シーンの想像を上回るクオリティーの高さに、批判の声はトーンダウンしていきました。

 原作者である井上雄彦氏が脚本・監督を務め、モーションキャプチャーを使った3DCG映像を細かく修正していくことで、違和感なく、迫力ある試合シーンに仕上がっています。原作&TVアニメ版では1年の桜木花道が主人公でしたが、ポイントガードの2年・宮城リョータの視点を中心に原作のクライマックスとなった山王戦の激闘が再現されています。

 あまりにも有名なセリフ「あきらめたら そこで試合終了ですよ」に加え、山王の堂本監督が試合後に部員たちにかける言葉も、胸に刻まれることでしょう。バスケットに興味がない人でも、組織を活性化させるための多くのヒントが『スラムダンク』には込められているので、刺激を受けるに違いありません。年末年始は「ゾーン状態」に入り、興収を大きく伸ばすことが予測されます。

 12月23日(金)からは原恵一監督の『かがみの孤城』の公開も始まります。アニメ業界を舞台にした実写映画『ハケンアニメ!』の原作者である辻村深月さんの「本屋大賞」を受賞した同名ファンタジー小説を、原監督が丁寧にアニメ化しています。

 日常生活とは異なる世界が、スクリーンのなかには広がっています。お正月休みには最寄りの映画館に足を伸ばしてみてはどうでしょうか。

(長野辰次)

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