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富野監督の「焦り」があった? 早過ぎた名作『聖戦士ダンバイン』が歩んだ苦難の道

早過ぎた要素がライバルに差を付けられる要因だった

ダンバインとビルバインが描かれた『聖戦士ダンバイン』 Blu-ray BOX II(バンダイビジュアル)
ダンバインとビルバインが描かれた『聖戦士ダンバイン』 Blu-ray BOX II(バンダイビジュアル)

 このロボットアニメ戦国時代という状況だからこそ、『ダンバイン』は作品として苦戦したとも考えられます。

『ダンバイン』に登場するロボット、オーラバトラーは富野監督のアイディアが詰まったものでした。搭乗するパイロットがフィギュアとしてプレイバリューを持つように、サイズをそれまでのものより小さくしています。そのため、プラモデルのメインは『機動戦士ガンダム』の1/144に対して、1/72になりました。

 この点はオモチャにも生かされ、胸のコクピット部分を外してパイロットを出し入れするギミックを一部の商品で再現しています。

 思えば『伝説巨神イデオン』は玩具会社が用意したロボットから企画が始まり、前作にあたる『戦闘メカ ザブングル』では急遽の監督登用でした。そういった点から、富野監督としては『ガンダム』以降で初めて、企画当初からメカに意見できる状態だったと言えるかもしれません。

 オーラバトラーはそれまでのロボットアニメになかった独特のデザインで、富野監督の考えた仕掛けも的を射ていたと思います。しかし、時代的には早過ぎたデザインでした。

 曲線主体のオーラバトラーは、それまでのメカメカしい直線主体のロボットたちと比べて異質で、好みが分かれるものです。またデザイン的に魅力的だった羽根もプラモデル的にはランナーが増えることになり、高価格帯になる要因となりました。オーラコンバーターと言われる背中のパーツも同じ理由から価格を引き上げる原因となります。

 さらに当時の技術力では曲線主体のメカは立体化が難しく、2次元での印象とはかけ離れた立体物となる要因でもありました。こういったマイナス面が主力商品であるオモチャ、プラモデルの不振につながり、そのまま本作への評価と結びついたわけです。

 しかし、前述したように富野監督が考案したバイストン・ウェルの世界観は、その後に渡って大きな影響を残しました。アニメ放送当時からスピンオフ小説として「野性時代」に連載された『リーンの翼』をはじめとして、後に『オーラバトラー戦記』や『ガーゼィの翼』など、いくつかバイストン・ウェルを舞台とした作品が生まれています。

 後続の作品群を見ていくと、富野監督としては『ガンダム』の宇宙世紀以上にバイストン・ウェルは愛着を持てる世界観だったのかもしれません。バイストン・ウェルは富野監督のライフワーク、そう言っても過言ではないでしょう。

 筆者も本放送後も定期的に『ダンバイン』を見ていますが、何度見てもグッとくるものがあります。21世紀以降に異世界モノが大流行したことを考えると、20年は先を行っていた作品だったのではないでしょうか?

(加々美利治)

【画像】異色デザイン!『ダンバイン』主人公メカを見る(6枚)

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