『キカイダー01』放送開始から50年 シリーズ化すれば「特撮の歴史」は変わった?
番組後半を盛り上げたビジンダーとワルダー

前作から『01』に登場したキャラクターはキカイダー/ジローだけではありません。宿敵として人気の高かったハカイダーも復活を遂げ、あらたに部下となるシルバー、ブルー、レッドという3体のハカイダーを引き連れて「ハカイダー四人衆」として再登場しています。
子供に人気のあったライバルキャラの再登場でしたが、これが思ったより上手く機能しませんでした。最初の頃は筆者たち当時の子供も喜んでいましたが、前作のライバルキャラだったハカイダーに比べて『01』ではただの悪党に成り下がっており、急速に熱が冷めたことをよく覚えています。
もっとも前作のハカイダーの脳は光明寺博士で、『01』ではプロフェッサー・ギルの脳に変わっていました。いわば別人です。しかし、ギルハカイダーと呼称される『01』版も別な方角でキャラ立ちしていて、こちらはこちらで一定の人気がある存在でした。
物語の中盤、キカイダーは物語からフェイドアウトします。それは人気がなかったから、といったテコ入れの類ではなく、別の事情からでした。ジロー役の伴大介さんが新番組『イナズマン』での主演が決まったからです。これによりジローは最終回まで一時姿を消すことになりました。
変わってレギュラーとなったのが「ビジンダー/マリ」、演じたのはこの出演をきっかけに大ブレイクする志穂美悦子さんです。当時、アクションスターとして名を馳せていた千葉真一さんからの推薦だったそうです。この時の志穂美さんはまだ高校生で、本作出演後に高校を卒業して数々の作品で活躍しました。
ビジンダーの登場が本作の変換点となります。イチローが主人公として完璧だったゆえに、前作のジローのような不完全ゆえに成長する姿をマリに求めました。そのため、イチローよりもストーリーの中心となることが多く、終盤まではマリが主役のように扱われることになります。
このマリに対してのエッセンスになるよう新たに登場したのが「ワルダー」でした。ワルダーはかつてのハカイダーと同じく組織の一員ではなく、独自の行動理念で動くアウトローで、その実力は01と互角以上の強敵です。
しかしワルダーは強いだけでなく、犬が苦手という意外な一面もありました。このような人間臭い一面を持つワルダーがビジンダー/マリに思いを寄せているということもあり、後半で本作の物語はイチローが一歩引く形で進んでいきます。そのため本作後半の物語は勧善懲悪でありながらも単調にならず、ドラマ展開にも目が離せない傑作群を生んでいきました。
こういった部分が人気を呼んでシリーズ化も望まれていましたが、番組枠自体が一定の役割を果たしたことで1時間ドラマ枠へと変わり、子供向けの枠は本作で終了することになります。石森先生の萬画版では新たなキカイダー「00(ダブルオー)」が登場していることから、シリーズ第三弾の企画は考えられていたのかもしれません。
もしもキカイダーが現在の仮面ライダーやスーパー戦隊のようにシリーズ化していれば、現在の日本特撮はどのように変わっていたのでしょうか?
(加々美利治)



