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昭和平成特撮ドラマの「カリスマ悪役」4選。常識にとらわれない“美学”で視聴者を魅了

特撮ドラマの正義のヒーローは優等生的言動に終始しがちですが、悪役は常識にとらわれないワイルドな魅力を感じさせました。視聴者の心に残った人気の悪役キャラクターたちを紹介します。大人になって振り返ってみると、悪役として一世を風靡した俳優たちも独自の人生哲学を持っていたことが感じられます。

スタリッシュさと強靭な精神力が悪役の魅力

『人造人間キカイダー』屈指の人気悪役、ハカイダー。画像は「S.I.C. ハカイダー 魂ウェブ商店限定」(BANDAI)
『人造人間キカイダー』屈指の人気悪役、ハカイダー。画像は「S.I.C. ハカイダー 魂ウェブ商店限定」(BANDAI)

 光あるところに、影もまたあり。正義のヒーローが活躍する特撮ドラマに欠かせないのが、悪のキャラクターです。プロレスの興行がベビーフェイス(善玉)だけでは成り立たず、ヒールレスラー(悪役)を必要としているように、人気特撮番組には強烈なインパクトを放つ悪役が必ず登場しました。

 悪の組織に身を置く立場ながら、個性派俳優たちが演じた悪役たちはそれぞれ独自の悪の美学を持ち、誇り高く正義のヒーローとの戦いに挑みました。また、かっこいいだけでなく、敗北を喫しても決して戦うことを諦めない強靭な精神力も持ち合わせていました。

 昭和・平成の特撮ドラマ界に「悪の華」を咲き誇らせた、カリスマ的な悪役キャラクターたちを振り返ります。

●『人造人間キカイダー』ハカイダー

 数ある「東映特撮ヒーローもの」のなかでも、主人公以上の大人気になったのがハカイダーです。1972年~1973年にNET(現在のテレビ朝日)で放映された『人造人間キカイダー』のシリーズ後半から登場した敵キャラでした。主人公であるジロー(伴大介)ことキカイダーを倒すことを目的に、プロフェッサー・ギル(安藤三男)が光明寺博士を洗脳して作らせた最凶ロボットです。登場時に流れるテーマ曲が、とてもキャッチーでした。

「ハカイダー」というネーミングに象徴されるように、不良の匂いをぷんぷんさせたダークヒーローでした。ハカイダーの魅力は、クールで強いだけではありません。スケルトン状の頭部には光明寺博士の脳ミソを載せており、時々血液を取り替えないと戦闘不能に陥るという弱点も抱えていました。そんな脆さも、子供たちを夢中にさせました。

 ハカイダーの人間態であるサブローを演じたのは、真山譲次さん。涼しげな容貌の二枚目俳優でしたが、1970年代後半には芸能界を引退し、実業家に転身したそうです。芸能界にしがみつくことなく、ハカイダーというキャラとともに一瞬の輝きを放った俳優だったと言えそうです。

●『愛の戦士レインボーマン 』ゴッドイグアナ

 妖しい魔女役で視聴者の脳裏に深く刻まれているのは、曽我町子さんです。TVアニメ『オバケのQ太郎』(TBS系)の初代 Q太郎などの声優を務めた曽我さんが、女優として注目を集めたのが東宝特撮ドラマ『愛の戦士レインボーマン』(NET系)の魔女ゴッドイグアナでした。魔女イグアナを演じた塩沢ときさんより10歳年下の曽我さんでしたが、イグアナの母親としてレインボーマンを大いに苦しめます。

 曽我さんの人気をさらに広めたのが、『電子戦隊デンジマン』『太陽戦隊サンバルカン』(テレビ朝日系)で演じた悪の女王へドリアンです。また、魔女パンドーラを演じた『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(テレビ朝日系)は『パワーレンジャー』として米国でも放送され、海外でも存在感を示すことになりました。

 曽我さんの演技にはコミカルさがあり、カラッとした明るさが感じられました。本人も特撮ドラマでの魔女役、悪の女王役を楽しんで演じていたようです。『5年3組魔法組』(NET系)では、いたずら好きで陽気な魔女ベルバラに扮しました。素顔の曽我さんに近い役だったように思います。

 長年にわたって悪役を演じた曽我さんに対し、東映が『魔法戦隊マジレンジャー』(テレビ朝日系)のシリーズ終盤、劇場版『魔法戦隊マジレンジャーTHE MOVIE インフェルシアの花嫁』(2005年)に登場する天空大聖者マジエル役に起用したのも印象的でした。スタッフや共演者たちから、リスペクトされていたことが分かります。湾岸戦争や阪神大震災の際には、復興支援バザーを行なったことでも知られています。心優しい魔女でした。

【画像】作品をこえて記憶される人気者も? 悪役の存在が光る、特撮の映像作品たち(6枚)

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