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『ドラクエ3』で「おうごんのつめ」を持ってラスボスに挑戦 残ったのは「切なさ」だけ?

父・オルテガを救えなかった悲しみ

目の前に自分の娘がいるとも気づかず、瀕死のオルテガは勇者の一行に伝言を託す
目の前に自分の娘がいるとも気づかず、瀕死のオルテガは勇者の一行に伝言を託す

 ゾーマの城は、とにかくHPが高いモンスターばかり。逃げないので、戦闘ごとに削られます。地下4階で、全員のMPが50程度。このままゾーマ戦は難しいと感じつつ、悲しいイベントが起こります。

* * *

 ひとりの勇者が怪物と戦っていた。覆面をして、装備はほぼ付けず、斧だけを持っていたが、ひと目で父・オルテガとわかった。

 女性みたいな外見(私は父親似だ)を気にして顔を隠し、肉襦袢(じゅばん)を着て強そうに見せかけていた父だったが、今は偽物ではなく、鍛え上げた肉体なのがわかる。生きていることは知っていた。ラダトームの城で父の介抱をした女性と会ったから。

 私は「にじのしずく」で魔の島に渡ったから、伝説の装具で身を固めているけど、父は魔の海を泳いで渡ったから、装備がないのだろう。だけど、ロクな装備もなしで、5本の首がある巨大な怪物・キングヒドラと戦うのは無理だ。4人で進んでいる私たちでも、ほとんど余力がない、この戦地で。

 父の回復呪文が尽きるのがわかった。助けに入ろうとするが、魔物たちが行く手を阻む。
 渾身の父の一撃を受け、キングヒドラは撤退するが、そのまま父も倒れた。駆けよって、ベホマを唱えるが、全快するどころか効果がない。

「この方は……魔の海の水で、呪いを受けているのですね。外からの呪文は受け付けないようです」

 賢者ニコライが厳しい顔をした。

「……私は、アリアハンのオルテガ。そこの旅の人よ、どうか伝えてほしい。もし、そなたがアリアハンに行くことがあったら……そこに住む、アリエルを訪ね、オルテガがこう言っていたと伝えてくれ……」

「お父さん! 私はここに、いますっ!!」

 呼びかけるが、致命傷を負った父は私を認識できない。覆面が鮮血に染まっていく。

「平和な世界にできなかった、この父を許してくれ……とな。ぐふっ!」

 大きく血を吐いた。私は間髪入れずザオラルを唱え、ニコライがザオリクを唱えるが、呪いに防がれて、呪文が届かない。そこで父の覆面を取り去ると、父は大きく目を見開いた。そして、私の頭を撫でて微笑み……こと切れた。

「おのれゾーマ! 報いを与えてくれる!!」

 私は怒りに震え、さらに進もうとした。そこで戦士ライアスが私の肩を掴んだ。

「アリエル、ここで撤退だ。シレネアがいいものを見つけてな」

「けんじゃのいし、よ。全員の傷を癒せる。帰るわよ。次は、楽にここまで来られるわ」

「嫌だ! お父さんの仇を、討つんだ!」

「その話だけは、聞けねぇな。アリエル。貴女を死なせるわけにはいかない。ロミオが、貴女を、待っている」

 戦士ライアスが私の目を見た。ロミオ……彼と私のかつての仲間。私のために、罪を犯し、独房で私を待つ人。その名前を出されて、私は唇を噛み、そしてリレミトを唱えた。

* * *

 けんじゃのいしを取った時点でMP切れとなり、再度ゾーマの城へ。ゴールドを預けたら、金額が増えすぎていて、銀行の上限25万5000ゴールドに達してしまいます。

 再びゾーマの城に潜りますが、けんじゃのいしの回復により、今度は打撃だけでMPを使わずに進めます。無傷で地下5階のボス連戦に到達し、この時点でレベルは勇者52、戦士49、武道家47、賢者55です。

 キングヒドラ戦。オルテガの脳内ストーリーがあるので、ゾーマ戦より個人的に盛り上がる戦いでした。ルカニで防御力を下げ、バイキルトで攻撃力を上げるとダメージは300を越えます。他の仲間は決着まで、手を出させません。

 バラモスブロス、バラモスゾンビは問題にならず、いよいよラスボス、ゾーマ戦に。

* * *

「アリエルよ! 何故もがき、生きるのか? 滅びこそが我が喜び。死にゆくものこそが美しい。さぁ、我が腕の中で、息絶えるがよい!」 大魔王ゾーマが宣言する。

「自分の、喜びで、命を弄ぶなっ! 望み通り、滅ぼしてやる!!」

 私はそう叫び、私たちは死力を尽くしてゾーマと戦った。打ち倒したとき、ゾーマは言った。「再び闇が現れるが、お前は年老いて、生きてはいまい」と。

 最後の言葉を聞いて、私はほっとした。大魔王は息絶えて「年老いて息絶えるまで、もう勇者をしなくていい」と知ったから。私たちは、崩壊したゾーマの城から脱出した。世界に光が戻り、空が閉じる音がする。

「空が、閉じる?」

 それだけは認められなかった。私は、戻らなければならないのだ。彼の町に。
 ラダトームの王に、ゾーマを討ったことを報告する。そして願い出た。

「もし、再び闇が現れたとき、私の血筋が残っていたら、必ずこの地を守りますから。伝説の装具を、この城に戻します。もう……私には必要ないから」

 剣も、鎧も、盾もわかってくれた。伝説の装具が私の体から離れていく。お別れだ。

 私はルビスの塔に行かねばならない。精霊ルビスは言っていた。「大魔王を倒してくれたら、恩返しをする」と。彼女に、天を開いてもらう。帰るんだ、あの人の、元に。

* * *

 というわけで、勇者アリエルの脳内冒険はおしまいです。『ドラゴンクエスト』のこだわりは「プレイヤーの数だけ物語がある」から、主人公にセリフを喋らせなかったことです。

 だから『ドラゴンクエストIII』を遊んだ皆様には、それぞれ胸が熱くなる冒険があることでしょう。本当に名作で、楽しいプレイでした。

(安藤昌季)

『ドラクエIII』ラスボスを倒した後に明らかとなる、「切ない結末」(10枚)

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