『ガンダム』野心や執念が生み出した機体3選 「開発者のこだわりがすごすぎる」
『ガンダム』シリーズを面白くしている要素のひとつといえば、常人離れした野心や執念に取りつかれたキャラクターの存在です。大抵は主人公にとって倒すべき存在として登場しますが、時に彼らは異常なほど機体の開発に執念を燃やしてしまうことも。今回はそんな野心や執念が生んだ、3つの機体をご紹介します。
執念が生み出した強力な力をもった機体の数々
『ガンダム』シリーズには、ガンダムやザクなどを筆頭に、実にバラエティに富んだ機体が登場します。それぞれの機体が生まれた背景にはいろいろなケースが存在しますが、時にはパイロットや設計者の行き過ぎた想いが込められていることも……。そこで今回は、野心や執念によって生み出された特徴的な機体をご紹介します。
●どんな犠牲も厭わない開発者の執念が怖い
最初にご紹介するのは、OVA『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』に登場した「アプサラスIII」です。同機はジオン公国の技術将校ギニアス・サハリンが生涯をかけて開発したモビルアーマーでした。
ギニアス家は、かつて栄華を誇った名家ですが急激に没落します。そのため、現当主のギニアスは、この機体の完成にサハリン家の再興という夢を託していました。
着目すべきは、アプサラスIIIの開発に対する異常なまでの執念です。ギニアスは開発スケジュールを強行するためにスタッフに劇薬を投与させたり、実の妹のアイナ・サハリンを危険が伴うテストパイロットにしたりと、いかなる犠牲を払ってでもアプサラスを完成させようとします。
そんな一族の再興を託した機体だけあって、完成したアプサラスIIIは破格の能力を有していました。前身機体であるアプサラスIIは電力不足という深刻な悩みを抱えていましたが、アプサラスIIIにはリック・ドム3機分に相当するジェネレーターを搭載します。これによって電力不足の問題が解決し、そのほかにもミノフスキー・クラフトが2基に増設されるなど、従来の機体を大きく凌駕するとてつもない性能を実現しました。
結果としてラサ基地攻防戦の最終局面ではギニアス自らが搭乗し、連邦軍の大型陸戦艇であるビッグトレーを山ごと貫いて破壊するという狂気を見せつけました。
●仲間を失った悲しみが生み出した執念の機体
続いてご紹介するのはTVアニメ『機動戦士ガンダム00』に登場した、グラハム専用の「ユニオンフラッグカスタムII(GNフラッグ)」です。
ユニオン軍の兵士グラハム・エーカーが戦死した仲間の無念を晴らすべく、「フラッグでガンダムを倒す」という執念に取りつかれ、親友で技師のビリー・カタギリらに設計させたのがGNフラッグでした。
同機は、ユニオンのMSである「ユニオンフラッグカスタム」に無理やり疑似太陽炉を搭載した機体です。過度な性能を強引に持たせたため、機体バランスに難があるという欠点を抱えていました。実際、初搭乗時はケタ外れの加速によってパイロットのグラハムが吐血するなど、搭乗者の負担は相当なものがあったようです。
グラハムが、ここまでフラッグにこだわったのは、信頼していた部下のハワード・メイスンらがガンダムに敗れて戦死したことが関係します。最後まで「フラッグファイター」としての誇りを持ち続けたハワードの意思を受け継ぎ、この機体でガンダムを倒すことを誓ったのです。
GNフラッグはグラハム自身が開発したわけではありませんが、彼の異常なまでの執念が生みだしたMSでした。