『Zガンダム』非人道的な「強化人間」が生まれたワケ 「戦争」のためだけではなかった?
アニメ『機動戦士Zガンダム』から登場した「強化人間」。人間を肉体的に強化したうえで、精神に負荷をかけることでニュータイプに近いサイコミュ兵器運用能力を持たせた人間です。1年戦争前から開発されていたという強化人間ですが、なぜこのような非人道的な人間兵器が生まれたのでしょうか。
選民思想と結びついている?

「強化人間」とは、アニメ『機動戦士Zガンダム』より登場した設定で、人間を人工的に強化することで、超人的な身体能力やパイロットとしての操縦技術を付与した、人間兵器です。
前作『機動戦士ガンダム』の舞台である1年戦争の時期でも、後発作品では「本来兵士には適さない女性や子供でも戦える技術」としての、強化人間が登場していします。例えば、マンガ『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』には、イングリッドとユーマのふたりが強化人間として登場します。
ユーマは少年ながら、志願して身体強化を受けており、大人に負けない身体能力を持っていました。イングリッドはクローン人間で、恐らくは1年戦争中に作られ、急速成長胚で10代前半の少女のような外見となっています(ユーマは劇中でイングリッドを10代後半の自分と同じ年齢と言っていますが、それだとジョニー・ライデンが幼児のときに遺伝子を提供したことになるので、ユーマがイングリッドの素性をよく知らないだけでしょう)。
上記を考えると、1年戦争中のイングリッドは下手をすると1歳にもなっていないはずですが、彼女は社会的な知識や判断能力を、外見年齢と同じ程度か、それ以上に持っていますし、周囲の感情の動きや政治的状況も正しく理解していました。
つまり、宇宙世紀0079年の時点で既に「クローン人間の製作目的に必要な記憶や、世間知を植え付ける」技術が存在したことになります。
『Z』では、ティターンズにフォウやロザミアが記憶を改竄され、その精神的トラウマでニュータイプ能力のような精神感応力が強化されている描写もなされています。『機動戦士ガンダムUC』でも、マリーダは記憶改竄を受けて、バナージらを忘れてしまう描写がなされています。宇宙世紀では人間の記憶は「作れる」ものということです。
なお、最初の強化人間を生み出したジオン公国も、民主主義国家である地球連邦から独立した国家です。基本的人権の教育を受けたことがある国民で構成されているはずですが、ジオンは長年に渡り、人権を無視した非人道的な研究を進めてきたことになります。
なぜ、非人道的にも思える、記憶を付与・改竄する技術や、身体能力を強化する技術が必要とされたのでしょうか。筆者は「宇宙開発の困難さ」と「ジオンの選民思想」が合わさったものだと推察します。


