アニメが「還暦」を迎えた『鉄人28号』 世相に合わせた作風で時代を超えた名作に
昭和だけでなく平成にも製作された『鉄人28号』

そして『鉄人28号』のアニメ第3作となったのが、1992年から放送された『超電動ロボ 鉄人28号FX』です。この作品はリメイク作品ではなく、原作マンガのその後を描いたシリーズとなりました。
そういった設定のため、大人となり結婚して息子もいる正太郎が登場します。もちろん相棒として、本来の鉄人も登場していました。そして本作では正太郎の息子・金田正人が主人公に変わり、新しくなった鉄人28号FXが主役ロボとなります。
『超電動ロボ 鉄人28号FX』の特筆すべき点は、第2作とは真逆に現代風に大胆なアレンジが加えられたデザインでしょう。ただ、背中に飛行用パーツとなる鉄人17号フェニックスが合体するようになりましたが、武器を持たないという鉄人のアイデンティティは継承しています。
その反面、ライバルだったブラックオックスをリメイクした、「ブラックオックス/鉄人29号OX」は大きく変わりました。各部に砲門を備え、変形してジェットモードになるなど、かつての面影は皆無に等しくなっています。もっともブラックオックスとしては初の商品化もされ、壊されずに最後を迎えるという厚遇ぶりでした。
このデザインが当時の子供の心をつかんだのか、オモチャの売り上げは鉄人とオックスともに良く、ヒット商品となっています。
その後、第4作となったのが2004年に今川泰宏監督によって製作された『鉄人28号』です。それまでのリメイク作とは違い、原典であるマンガ版を再構築した作品となりました。
原作マンガ連載時の昭和30年代の再現を重視しており、単純なロボットアニメ作品ではなく、複雑な人間ドラマを中心に描かれています。後にスタッフや作品観が同様の、劇場版『鉄人28号 白昼の残月』(2007年)が制作されました。
そして、今のところ最後のアニメ作品となっているのが、2013年に放送が始まった『鉄人28号ガオ!』です。5分程度のミニ番組枠ですが、このアニメシリーズ史上最長の3年に渡って放送された作品でした。
ポップな現代風の絵柄になっていますが、第1作を手掛けたエイケンとフジテレビがふたたび制作しています。内容もマンガ版の延長線上で、旧作のファンには高評価でした。全話ソフト化されていないので、視聴困難な点が残念です。
もちろんアニメ化以外にも、2005年の実写映画や、2004年に「月刊マガジンZ」で連載された長谷川裕一先生の『鉄人28号 皇帝の紋章』といった新解釈の作品は他ジャンルにも及びます。
TVアニメ化が5回というのは、6回の『ゲゲゲの鬼太郎』に次ぐ2番目の記録です。ほぼ10年間隔で制作されている点も、一緒でした。ひょっとしたらTVアニメとして還暦を迎えた『鉄人28号』も、2020年代に新作発表されるかもしれません。令和の時代の『鉄人28号』は、一体どんな作品になるのでしょうか。
(加々美利治)



