『薬屋のひとりごと』こそ現代の少女マンガそのもの? ”普通じゃない”猫猫が愛されるわけ
中華風ファンタジーと後宮文学とミステリーが見事に融合した『薬屋のひとりごと』。尖った個性が魅力的な猫猫の活躍を毎週楽しみにしているアニメファンも多いでしょう。この記事では現代的な「少女マンガ」の主人公という視点から猫猫について考えてみました。
特殊なスキルと知識を武器に猫猫が大活躍!
インターネットの小説投稿サイト「小説家になろう」での大人気を受けてマンガ化やアニメ化された『薬屋のひとりごと』は男女を問わず支持される名作です。「小説家になろう」発の作品のため、いわゆる「なろう系」作品の一種だとされていますが、「異世界転生もの」ではないため同じカテゴリに分類するには違和感があります。この記事では少女マンガの視点から『薬屋のひとりごと』を振り返ります。
●「なろう発」だけど「なろう系」ではない?
裾野が広いマンガ市場では、児童向けの「コロコロコミック」、少年向けの「週刊少年ジャンプ」、若いビジネスマン向けの「ビックコミックスピリッツ」など雑誌ごとにターゲットが細分化されています。そのなかでも特に思春期の少女に向けた作品群が「少女マンガ」です。
累計発行部数3000万部を突破した『フルーツバスケット』や2000万部突破の『ふしぎ遊戯』、1000万部突破の『ママレード・ボーイ』など、多くの少女マンガがアニメ化され、男性読者からも高い人気を獲得しています。女性が少年マンガを読むように、男性もまた少女マンガを読むからこそ数千万部突破の大ヒット作が生まれたのです。自分で買うのは気恥ずかしいと言って、クラスのガールフレンドとマンガの貸し借りや回し読みをした経験がある人も多いでしょう。
最近はテレビアニメ化された少女マンガが減っていますが、現在大人気の『薬屋のひとりごと』こそ現代的な形で少女マンガが復権を果たした作品だと思われます。原作メディアの違いこそあれ、『薬屋のひとりごと』は主に異世界転生作品を指す「なろう系」ではなく、正統派の少女マンガ(アニメ)の系譜に連なる作品です。