SFC『FE紋章の謎』 魅力は「手強さ」と人間ドラマ「剣で私を好きなようにして」
1994年1月21日、スーパーファミコン用ソフト『ファイアーエムブレム 紋章の謎』が発売されました。『FE』の魅力は「手強さ」と、思い出を語り始めるときりがない、キャラクターの個性です。
『FE紋章の謎』手強いシミュレーションと個性的なキャラ

1994年1月21日、スーパーファミコン用ソフト『ファイアーエムブレム 紋章の謎』が発売されました。同作は1990年4月20日に発売されたファミコン用ソフト『ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣』のリメイク版と、その続編が収録されているのが特徴。
旧作をプレイしていない人でも楽しめ、すでにファンであるユーザーも新しいハードになったことでクオリティがアップした画面や音楽でゲームが楽しめる構成です。
『ファイアーエムブレム』(以下、FE)といえば、オペラ調で歌われる「ファイアーエムブレム 手強いシミュレーション♪」というファミコン版発売時のCMが印象に残っている人も多いのではないでしょうか。
歌詞にあるとおり、『FE』の魅力は「手強さ」。「ユニット」と呼ばれる自軍のキャラクターは、戦闘で敗れると「ロスト」し、二度と戻ってきません。襲ってくる敵ユニットに対し、作戦を立てて自軍のユニットを配置するシミュレーションゲームの要素。そして、ストーリーの面白さ、登場時のレベルが低いキャラクターほど成長の可能性が高く、経験を積ませてレベルアップさせていくRPG要素。『FE』は「シミュレーションRPG」というジャンルの代表作といえます。
また、敵のなかには、自軍の特定のキャラクターで話しかけることで仲間になる者も。敵として襲いかかってくれば、自軍のユニットはあらかじめ武器を外しておくなどしなければ、反撃してしまいます。仲間にする前に倒れてしまわないよう、タイミングや時間との戦いも求められるのです。
何十ターンもかけて戦闘を進めても、自軍のユニットが倒れれば、多くのユーザーが「リセット」を選択しました。それまでにかけた時間は全て水の泡に。レベルアップしてたまたまステータスが多くアップしても、それもなかったことになるのです。もちろん、主人公のマルスが倒れればその時点でゲームオーバー。
倒れたユニットを諦めて物語を進めることも、もちろんできます。ですが、迎えたエンディングで流れる各キャラクターの後日談で、倒れた者は戦死の記録しか語られません。本来であれば、平和になった世界で新たな地で生活を始めたり、幸せな結婚をしたりするはずであったのに……。キャラクターたちが皆「死なせたくない」と思わせる、魅力や個性を持っていたのも、プレイヤーを再びゼロから踏ん張らせる活力となっていました。
無茶すぎる、ナバールとシーダのやり取り

『暗黒竜と光の剣』には、キャラクターたちによる印象的なシーンが多く見られました。剣士ナバールは、ペガサスナイトのシーダが話しかけると仲間になります。シーダは「無意味な戦いをするなら、その剣で私を好きなようにして」とナバールを説得。タリス国の姫ながら、かなり無茶なセリフです。
ほかにも、シスター・レナの心の美しさに惹かれて盗賊から足を洗ったジュリアン。そしてレナの兄・マチスもユニークなキャラクターです。『紋章の謎』では流されて反乱軍に属する自分を棚にあげて、献身的にレナを支えるジュリアンとの会話では「盗賊に妹はやらん」と発言。エピローグの肩書は「レナのバカ兄貴」です。
ゲーム上でよく語られるのは、傭兵・オグマの「やっつけ負け」。オグマは強力であるがゆえに、前方へ出すと、向かってくる敵を次から次へと倒してしまいます。一回の戦闘で受けるダメージは少なくても、数が重なると命に関わります。倒しきれなければ敵が壁になって他の敵の攻撃を受けないで済むというのに、「次の敵はHPが高いから大丈夫だろう」というタイミングで発生する「必殺」。一撃で敵を切り捨てたオグマが、次の敵に倒されるのは「FEあるある」と言っていいでしょう。
『紋章の謎』から加入するキャラクターも個性的。「似ているらしくよく間違えられるから」とナバールを装って登場する傭兵サムトーが「女や子供に用はない」と決めゼリフを放つも、シーダに見抜かれ「あなたでもいい……」と言われて仲間になる、コミカルなシーンもありました。
ペガサス三姉妹の、パオラ・カチュアの報われない恋。「マムクート」の少女チキの、両手を顔にあてた「チキサイン」。アカネイア王国の王女・ニーナと、彼女の夫となり国王になったハーディン、そして仮面の騎士シリウスとの関係……。登場キャラクターたちの思い出を語り始めると、話題が尽きません。
2020年4月にシリーズ30周年を迎える『FE』。今プレイしても古さを感じさせず、CMソングにあるように「やり始めたら 眠れない♪」状態になってしまいそうです。
●ファイアーエムブレム 紋章の謎 プレイ映像
(マグミクス編集部)