新アニメ『キン肉マン』アラフィフとアラサーで温度差? リメイクと勘違いする理由
『II世』を読むことでつながる伏線とは?

時系列的にいえば、原作マンガ版『II世』が連載終了してから、今回TVアニメ化された『完璧超人始祖編』の連載がスタートしています。少し複雑な関係かもしれません。
前述した『II世』しか知らないという世代が少なからずいる要因は、『II世』もTVアニメ化されていることだと考えられます。このアニメ化がきっかけで商品展開もされ、掲載誌も「週刊プレイボーイ」という青年誌だけでなく、子供向け月刊誌「Vジャンプ」で『キン肉マンII世~オール超人大進撃~』という別ストーリーが始まりました。
こうした広がりがあったわけですから、当時の子供で、前作『キン肉マン』を知らないアラサーに『II世』が支持されていた理由もよくわかります。なかには前作となる『キン肉マン』にさかのぼって観た/読んだ人もいるようですが、純粋に『II世』だけを楽しんだ層もいたのです。
しかし、そういった層はアニメだけを観ていた人が多いらしく、アニメにならなかった原作マンガのパートは読んでいなかったそうです。考えてみれば、「週刊プレイボーイ」という青年誌は、子供が手に取るにはハードルが高くて当然かもしれません。
意外とこの「アニメだけ観る」という層はどんな名作にも少なからずいます。そのため『II世』のストーリーは、アニメになった「超人ワールドグランプリ編(原作では復活超人オリンピック ザ・レザレクション編)」までしか知らない人が少なくないようでした。
実はこの後の『II世』では「悪魔の種子編」を経て、「究極の超人タッグ編」へと続いています。そして、この「究極の超人タッグ編」が、現在進行している『キン肉マン』のストーリーと意外な関連性があることを指摘するファンもいました。
もっとも、この部分を知らないファンもいるようです。なぜなら、『II世』を読んではいなかったけれど『キン肉マン』だから現在の連載は読んでいる、という層もいるからでした。確かに物語的には『II世』は『キン肉マン』から28年後の時代と設定されていますから、未読でも問題はないかもしれません。
しかし、ネタバレになるので詳細はふせますが、今回のアニメ化された『キン肉マン』の先の物語を楽しんでいくならば、『II世』も読んでおいた方が楽しめるかもしれません。『キン肉マン』の物語はスターシステムに近いものがありますから、前後のつながりだけでなく、ほかの作品にまたがって読んでいくとより面白さが増すことでしょう。
今回のTVアニメ化でより多くの層の目に留まるであろう『キン肉マン』は、深く読み進めていくことで意外な関連性に気づき、より楽しめることになるはずです。
(加々美利治)