「トサカは何なの?」 後追い世代が『キン肉マン』を読んで驚く「大前提」とは
新作アニメの放送も控えている『キン肉マン』は、連載初期は「ギャグ」だったことは有名ですが、後追い世代はそもそも「パロディ」だった事実が共有されてない可能性も?
露骨な「アイスラッガー」だけど、言われないと分からない?
『キン肉マン』(著:ゆでたまご)は、1979年の連載開始から現在も続く超人気マンガであり、その直球のネーミング、一度見たら忘れられないビジュアルも相まって、日本人なら誰もが知る国民的作品となりました。
ファンを公言する著名人も多く、メディアを通じて「バトルが激アツなこと」「どうやら牛丼が大好物なこと」「もともとはギャグマンガだったらしい」といったことまで、全世代的に知れ渡っているのではないでしょうか。今もなお続編、派生作品によって新たなファンを獲得続けていますし、2024年7月には新作アニメの『完璧超人始祖編』も放送予定です。
一方、多くの長期連載作品がそうであるように、「後追い世代」のファンも本作には多いです。往々にして「(最初からでなく)途中から入った」という、比較的カジュアルなファンも相当数いることでしょう。そうなると「リアリタイム世代」にとっては「大前提」だったある事実が、案外「後追い世代」には共有されていなかったりするものです。
それはつまるところ、『キン肉マン』という作品がもともとは「ウルトラマン」のパロディとして開始されたという事実でしょう。冒頭、「もともとはギャグマンガだったらしい」ことは広く知られていると書きましたが、その点は知っていても「そうなのか」となり得るのが、この大前提ではないでしょうか。
第1話ではしっかり、「ウルトラマンにあこがれ」ている旨が明記されていました。連載前の2本の読み切り時点では、「ウルトラ兄弟8番目の弟」と堂々と言い切っており、他のウルトラ兄弟たちに虐げられるギャグも炸裂します。こうした最初期の設定は、本格的な格闘マンガへとシフトするにつれて薄れていきました。
ただし、当時の名残として今もあるのが、あの特徴的な「トサカ」です。リアルタイム世代からすれば一目瞭然のパロディですが、それ以外の世代からすれば意外とあれが「ウルトラセブン」の「アイスラッガー」を模したものであることには、気付けないのではないでしょうか。それくらい『キン肉マン』という作品、キン肉スグルというキャラクターが定着しているので、無理からぬことではあります。
これからもますます、「後追い世代」は増えていくでしょう。何せ『キン肉マン』は最初から読んでも、途中から読んでも、どちらでも、読者を引き込む偉大な作品なのですから。
(片野)