「じっ…」離れた場所から飼い主を監視する猫 文句が言えない理由があった?
漫画家の迷子さんによる描き下ろしエッセイ。迷子さんの愛猫は、いつでも「じっ……」と飼い主を見ています。向いている職業があるのでは?
愛猫がじっ…と見てくる

漫画家の迷子さんによる描き下ろしエッセイ。
迷子さんの愛猫は、常に飼い主を「じっ……」と見つめています。この監視能力があれば、向いている職業があるような?
* * *
ふと視線を感じる。見回すと、半端に開けていた扉から小さな頭が覗いていた。ふたつの眼が、こちらをじっと見つめている……。
言わずもがな猫である。猫じゃなかったら困る。
何か用でもあるのかと近寄ると、その分だけ遠ざかる。ご飯もあるし水もあるしトイレも綺麗。なんだろなと元の場所に戻って読書を開始すると、再び視線を感じる。きっちり半身だけ覗かせてこちらを見ていたりするので、さらに気になる。隠れているつもりだろうか。
調べてみると、飼い主の動きを観察しているのだという意見があった。少し離れて、自分自身は安全なところから、飼い主の全体像を把握しているとのことだ。毎日新鮮な気持ちで飼い主を「飼い主だ」と認識してくれているのだろうか。……いや、毎日毎日やかましくかわいさを賞賛しついでに吸ってくるようなやつは、そりゃあ遠巻きに観察したくもなるのかもしれない。
猫に対して何も言えないということが分かったので、じっとりとした視線を今日もおとなしく享受したい。
(迷子)