ハード戦線のさなかに登場! アーケードから移植が早かったプレステ『鉄拳』の秘策
『鉄拳』の秘策

鉄拳がPSに素早く移植された理由、それはナムコがソニーコンピュータエンタテイメントと共同開発したPSと互換性のある新基板SYSTEM11を使用していたからでした。そしてそれは、『バーチャファイター2』よりも『鉄拳』の方が先に家庭用格闘ゲームに参入できることを意味していました。
そうして迎えた3月31日、筆者が当時たむろしていた友人宅に、誰かが買ってきたPS版『鉄拳』が持ち込まれたのです。お金を投入せずに遊べる対戦格闘ゲームとなれば、普段出来ないことをバンバン試すことができます。重点的に練習したいキャラ、普段使わないキャラ、試したいコンボなど、やりたいことがいくらでもできるのです。そこから数日間、たまり場でひたすら『鉄拳』をやり続けてから、鍛えた腕前を披露しようとゲームセンターに向かってアーケード版『鉄拳』にコインを投入し、やはり明らかに腕前を上げている対戦相手に遭遇する羽目になったのです。考えていたことは、皆同じでした。
当時、家庭用ゲーム機で対戦格闘ゲームをやるとすればSNKの「NEOGEO(ネオジオ)」がありましたが、高価だったのと対戦格闘ゲーム以外のタイトルは癖があるものが多く、誰もが持っているという類のものではありませんでした。だからこそ、普及型のゲームハードであるPSでアーケードとそん色ないタイトルを遊び、練習できることには大きな意味があったのです。
あれから25年、現在では『鉄拳7』が世界中で遊ばれています。eスポーツのタイトルとしても存在感を示しており、多くの強者たちが覇を競っています。日本勢と韓国勢が強いとされていた同タイトルでしたが、2019年は彗星のように現れたパキスタン勢が大会を席巻するなど、盛り上がりを見せています。あのとき今のような光景を想像することはできませんでしたが、これからも『鉄拳』シリーズには、格闘ゲームのシーンを引っ張っていくだけの力強いタイトルで居続けてほしいと切に願っています。
(早川清一朗)