「今観るとセリフでえっ」「笑いと気まずさが襲ってくる」 昭和アニメのビックリ描写
アニメ作品の描写や内容は時代の流れとともに、変化していきます。たとえば、昭和の時代に放送されていたアニメのなかには、今では考えられないシーンが盛り込まれた作品もありました。
意外な名作アニメにもあったアウトなシーン
かつて放送されていた懐かしのアニメは、現在の作品に比べ、当時許容されていた表現範囲が異なります。昭和期には、現在では放送が難しいほどに過激で不適切な描写を含む作品もありました。
●『アパッチ野球軍』
『アパッチ野球軍』(原作:花登筐/作画:梅本さちお)は、1971年にNET(現:テレビ朝日)系列で放送されたアニメです。高校野球の元スター選手「堂島剛」が「猪猿村」という田舎で、不良少年たちに野球を教える姿が描かれています。
子供向けとして放送されましたが、初回からヒロイン「岩城千恵子」が巨漢の男と人相の悪い男に襲われかけるなど、過激な内容が含まれていました。また、ダム開発を巡る住民同士の対立により、ケンカや嫌がらせにダイナマイトや斧などが登場し、物騒な雰囲気があるのも本作の大きな特徴です。
今観ると治安の悪さが際立つ作品ですが、「過激だけど少年たちの苦悩や葛藤がしっかり描かれている」「みんなユニークでそれぞれのキャラがたっていて面白かった」と好意的に振り返る声も多く、不良少年たちが野球を通じて成長し、甲子園を目指す姿が好評を得ていました。
●『パタリロ!』
少女マンガ誌「花とゆめ」(白泉社)で連載されていた『パタリロ!』(作:魔夜峰央)のアニメは、1982年から19時台のゴールデンタイムに放送されました。当時としては珍しい同性愛の世界を描き、美少年たちによるドタバタコメディが見どころのひとつです。
本作には、ゴールデンタイムにはそぐわない、きわどい描写がたびたび登場しました。特に、男女問わず惹きつけてしまう「美少年キラー」こと「バンコラン」と「マライヒ」の濡れ場やキスシーンでは、マライヒのあえぎ声が印象的で、家庭で観るには気まずい瞬間も多かったようです。
ネット上では本作について「ギャグのおもしろさをかき消されるほど、ベッドシーンは子供ながらに衝撃的だった」「親と観ていて気まずかったけど、耽美的で不思議と気持ち悪さは感じなかった」と、過激な描写がありつつも、作品への好印象が多く語られています。
●『あしたのジョー』
ボクシングマンガの金字塔『あしたのジョー』(原作:高森朝雄/作画:ちばてつや)を原作とする同作は、1970年から放送されました。
主人公「矢吹丈」と彼の才能を見出したトレーナー「丹下段平」が、屈強な対戦相手たちとボクシングで死闘を繰り広げます。本作は過激というには大げさですが、現代では問題とされる放送禁止用語が多数登場していました。第12話ではライバル「力石徹」が丈に対し、「脳みそが足りない」という意味の言葉を発するシーンなど、現代なら問題発言とされるワードが飛び交っています。
また、未成年であろう少年少女が喫煙するシーンも含まれており、現在では完全にアウトとされる描写もありますが、もちろんメインのボクシングと人間ドラマに関しては「みんなストイックで強くなることの大変さを教えてくれた」「好きすぎて大人になって息子と一緒に観た」 と、世代を超えて現在も多くのファンに支持されています。
(LUIS FIELD)