新作『おねがい☆ティーチャー』が徹底した「変えないこと」とは? 全ては「熱心なファン」のために
20周年を機に浮き彫りとなった「ファンの熱意」が、新作映像制作へとつながりました。制作陣が選んだのは「変えないこと」。往年のファンに向けた追加エピソード(OVA)制作の狙いと現場の舞台裏を、中尾幸彦氏に聞きました。
リメイクではなく「追加」 その意図

20年以上前のアニメ作品が、続編でもリメイクでもなく、「追加エピソードの新作OVA」というカタチでまもなく復活します。
リメイクが相次ぐ近年のアニメ作品においては、スタッフを一新し、キャラクターも今風に刷新して新規ファンを取り込む、といった手法が主流になるなか、アニメ『おねがい☆ティーチャー』(以下『おねティ』)の新作OVAは、まったく逆の方針で作られました。
その企図するところはどのようなものなのでしょうか。制作プロデューサー兼監督を務めるジェンコの中尾幸彦氏に話を聞きました。
●「変えない」という選択
「昔のファンが変わらず愛してくれている作品を、そのまま届けたい」
中尾氏は、これが今回の『おねティ』新作OVAの出発点だといいます。旧シリーズを長く愛してきた既存のファンに向けた作品であり、新作リメイクアニメの多くが若い世代への訴求を意識して作られるなか、その方向性をあえて取らなかったのだとか。
きっかけは、2024年に放送20周年のイベント開催に向け実施されたクラウドファンディングで、1400万円もの支援が集まり、イベントも大きな盛り上がりを見せたことといいます。そこで改めて根強いファンの存在が浮き彫りになったからこそ、その人たちにもう一度『おねがい☆ティーチャー』を思い出してもらうことを優先しました。
OVAという形式もそうした思いの延長線上にあり、すなわち物理メディアでパッケージを手にとってほしいという意図だそうです。かつてDVDやビデオを買い揃えた世代のコレクター文化に、素直に寄り添った形といえるでしょう。中尾氏は「ファンに向けた、新しいコレクションアイテムを1個追加するようなイメージ」と表現しており、このひと言に今回の制作姿勢が凝縮されているといえそうです。

●続きではなく、隙間を埋める
新作OVAは、AパートとBパートそれぞれに1エピソードずつという構成になります。いずれも旧シリーズ本編の時系列に収まるエピソードです。
Aパートは「エピソード0」とでもいうべき、「森野苺」と「縁川小石」の出会いの経緯が描かれます。旧シリーズ本編では、ふたりはすでに知り合った状態から物語が始まりました。「あれだけミステリアスな苺が、なぜ小石とあんなに仲良くなれたのか」というファンが長年、抱いてきた疑問に、正面から向き合う内容になっています。
Bパートは、TVシリーズ第4話と第5話のあいだ、「第4.5話」的な位置づけで、「草薙桂」と「風見みずほ」の新婚旅行前夜を描きます。
「旧シリーズを見ていたら、『あ、1話の前の話だな』とか、『この話とこの話の間の話だな』というのが分かるようになっています」
後日談でも続きでもなく、旧シリーズをしっかり観ていた人にこそ刺さる内容といえるでしょう。「勝手に話の続きを作るのは違う」という判断もあり、こうした形になったといいます。









