聖地閉鎖を乗り越え「おねティ」新作アニメ制作へ ファンが繋いだ20年
アニメにおける「聖地巡礼」なる言葉や行動が一般化してはや幾年、その草分けに挙げられるのが、長野県の木崎湖周辺を聖地とする「おねがい」シリーズです。その20年以上の歴史を振り返りつつ、「いま」と「これから」を当事者に聞きました。
20年以上続くコンテンツツーリズムの理想形

2026年3月、ひとつのアニメ関連クラウドファンディングが締め切りを迎えようとしています。2002年に放送された『おねがい☆ティーチャー』、舞台となった「聖地」長野県大町市の木崎湖キャンプ場が閉鎖されるというニュースを経て、いま、新たな物語が産声を上げようとしているのです。
クラウドファンディングは「『おねがい☆ティーチャー』新作映像制作プロジェクト」と題し、新作アニメ(OVA)制作を目的に資金を募っています。その、ここに至るまでの20年以上にわたる経緯を振り返ると、「コンテンツツーリズム」のひとつのモデルケースが見えてくるといえるでしょう。
コンテンツツーリズムとは、アニメや映画、小説などの舞台(ロケ地)を観光することをいいます。アニメにおいては「聖地巡礼」という言葉が広く知られ、2010年代あたりからはいわゆる「町おこし」と結び付き、地元自治体とのコラボといった動きも見られるようになりました。ただ、作品の放送終了や完結ののちも、観光客の来訪やイベントなどが持続しているか否かで考えると、成功事例もあればあまりうまく行かなかった事例もあると言わざるをえません。
『おねがい☆ティーチャー』および、2003年放送の『おねがい☆ツインズ』からなる「おねがい」シリーズは、そうした「聖地巡礼」が一般化する以前からこんにちに至るまで、作品と地域の共生を継続的に実現してきたといえるでしょう。
クラファン企画を手がける静賀豊氏は、聖地巡礼が始まった当時について「Googleマップもスマホも無い時代、個人BLOGの巡礼記事などで情報を得て木崎湖へ赴き、そこで出会った人達と情報交換するなど、現地での交流が多かったと思います」と振り返ります。
アニメ放送終了後も木崎湖では毎年、ファン主導のイベントや清掃活動が行われるなど、地域との関係性は20年以上にわたり続いてきました。
地元企業を上回る貢献、ファンが支えた「聖地の絆」

「聖地」のひとつ、木崎湖キャンプ場の管理人を務めていた荒井利広氏は、「『今度こんな感じのイベント考えてるんだ』とアニメファンの皆さんとお話をすると、何か手伝える事はないかと多くの方がボランティアスタッフとして集まってくださいました。会場の準備や駐車場の案内、列の整理、物販協力等ほぼすべてを担ってくださった」といいます。
「(ボランティアは)物理的な見返りや報酬を一切求めず、ただひたすら大好きな場所で大好きな仲間たちと大好きなアニメのイベントを成功させたいという気持ちで集まってくれていたと思います」(荒井氏)
さらには「毎年夏の恒例行事、木崎湖花火大会におけるアニメファンの皆様からいただく協賛金は、地元のどんな大企業より多く、花火大会を大いに盛り上げてくださいました」(荒井氏)といいます。地域とアニメファンの関係が、単なる観光消費を超えた深い絆であったことがうかがえるといえるでしょう。
2024年6月には木崎湖キャンプ場にて、「おねがい」シリーズの20周年を記念するイベントが開催されました。このイベントには約1000人のファンが全国から集結したといいます。














