聖地閉鎖を乗り越え「おねティ」新作アニメ制作へ ファンが繋いだ20年
ファンと制作陣に火をつけた「聖地閉鎖」

この20周年イベントの成功が、冒頭に挙げた新規映像制作プロジェクトへとつながっていきました。
同企画で監督を務めるジェンコの中尾幸彦氏は「(20周年イベントで)熱意あるファンがまだこんなにいるということが明らかになり、『このイベントで最後というのはもったいない』というのが根底にあって」と、企画始動の経緯を振り返ります。予想を大きく超える反響とイベント会場の活気が、スタッフの背中を押したのです。
そうしたなか、20周年イベントから半年後の2025年1月28日、聖地として親しまれてきた木崎湖キャンプ場が閉場してしまいました。荒井氏は「キャンプ場内の木々の老朽化による倒木が目立ち始め、お越しくださる皆様に安全なキャンプ場として受け入れることが困難であると判断したため」といいます。
このことは、ファンとアニメスタッフ双方に大きな出来事として受け止められ、次なるアクションへとつながりました。
「キャンプ場の閉鎖が決まった時に、九州在住のファンの方が大町市へ移住し、その方を中心とした有志が木崎湖の近くに『北アルプス聖地巡礼ミュージアム』を開設しました。キャンプ場や近隣施設にあったグッズや記念品などが一堂に会する、新たなコミュニティの中心となる場所を提供してくださった。そんな姿を見て改めて『おねがい』ファンの凄さを知り、力を頂きました」(静賀氏)
これは、単なる消費者の枠を超え、ファンが地域の文化継承を担う「当事者」になったことを意味しています。これこそが、20年という歳月が育んだコンテンツツーリズムの究極の形ではないでしょうか。
アニメスタッフ側においても、木崎湖キャンプ場の閉鎖は「このまま『おねがい』シリーズを停滞させるわけにはいかない」と、思いをさらに強めることになったといいます。
そして2025年11月28日、新作映像制作のためのクラウドファンディングがスタートしました。クラファンという形式は、単なる制作資金の調達だけでなく、ファンの思いを結集し「おねがい」シリーズと地域の関係を継続していくという意思表示でもある、といえるでしょう。
あえての「非リメイク」と「円盤文化」への敬意

その新作アニメについて中尾氏は、「最近のリメイク作品では、スタッフやキャスト、キャラクターデザインなども一新して、今の若い人たちにも刺さる作品を作ろうという動きが見られますが、今作はそうしたリメイクではありません」と話し、特に重視したのは既存のファンへの配慮といいます。
「昔のファンがまだずっと長く息づいてる、忘れずにこの作品を愛してくれているというのがわかったので、そうしたファンに向け、かつての『お願い☆ティーチャー』そのままで新エピソードを届けたい、というのが根底にあります」(中尾氏)
そうした方針から、かつてのスタッフ、キャストが可能な限り集まって、制作をすすめているとのことです。
OVA(オリジナルビデオアニメーション)という形式を選んだのにも理由があります。
「40代より上の人たちには『コレクション』という文化があります。『グッズが欲しい』という延長線上に映像、円盤(ディスクメディア)というグッズがあって、新しいコレクションアイテムを1個追加するようなイメージですね」(中尾氏)
木崎湖キャンプ場管理人から退いた荒井氏も、期待を寄せているといいます。
「20年以上経ってからの新作映像制作という話自体に驚きました。当時もリアルな木崎湖を描いてくださった作品ですが、令和の技術でよりリアルな木崎湖が映し出されることを期待しています」(荒井氏)














