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『推しの子』終盤展開の問題 実写やアニメで「改変」を望む声が出ているのは何故なのか

マンガ『【推しの子】』の最終回には批判、不満の声が続出し、なかには「ノベルゲームのエンディング分岐のうちのひとつみたい」という意見まで見られました。その理由はどこにあるのでしょうか。また今後の実写ドラマと映画、そしてアニメの3期以降では、どのような展開(改変)が期待できるでしょうか?

原作者にとって「想定通りに進んだ」ラストでもある

『【推しの子】』アニメ場面カット (C)赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・【推しの子】製作委員会
『【推しの子】』アニメ場面カット (C)赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・【推しの子】製作委員会

 2024年11月14日に完結した人気マンガ『【推しの子】』の最終回には批判、不満の声が続出しました。さまざまな意見があったのですが、なかでもSNSで多かったのは、「ノベルゲームのエンディング分岐のうちのひとつみたい」ということです。その理由と「今後」のメディアミックス展開に期待できることを、ネタバレありで解説しましょう。

※以下からはマンガ『【推しの子】』の最終回を含むネタバレに触れています。

●「ノベルゲームで選択肢を間違えた結果」にも思えるラスト

『【推しの子】』のクライマックスでは、主人公のひとりである「星野アクア」が、自身の父親であり全ての元凶といえる「カミキヒカル」と対峙しました。そして、持っていたナイフで自身の腹部を刺して、「カミキが自身の罪を暴いたような映画の内容に逆上し、その脚本を書いたアクアを刺した」という筋書きで、カミキを社会的に抹殺することを企てます。その結果として、アクアはカミキとともに海へと落ち、カミキを、そして自身をも殺しました。

 生きたい理由がたくさんあると答えたアクアにとっても、彼を慕う周りの人々も、この物語を追ってきた読者も、決して望んではいなかったであろう、主人公が死亡する、バッドエンドともいえる終わり方……それ自体に賛否が出るのは当然です。

 しかも、恋愛的な関係を匂わせた(そうなっていた)、「有馬かな」「黒川あかね」「星野ルビー」……ヒロインそれぞれが、誰もアクアと添い遂げることなく、それどころかはっきり悲しみに打ちひしがれる姿も見せました。

 このように「他の選択肢があったように思える」「ヒロインの誰とも結ばれずに主人公死亡で終わった」印象こそが、「ノベルゲームで選択肢を間違えた結果としてのバッドエンド」のように感じられる理由です。

●真に復讐を遂げるトゥルーエンドもあり得たかもしれない

 もちろん、現状のラストもアクアが妹の星野ルビーを守るための苦渋の選択の結果ではあるのですが、だからこそ「そもそも劇中で、カミキヒカルの罪を告発する映画を作る理由はなんだったのか」とも思ってしまいます。

 やはり、ナイフで物理的に母親「星野アイ」を刺し殺されたことへの復讐として、アクアのこれまでの芸能界での経験と人間関係を活かし、「映画という媒体で社会的に葬る」「カミキ含め誰も死なずに自身も周りに幸せになる」ことこそが、「真に復讐を遂げるトゥルーエンド」な着地になるのではないか、と考えてしまうのです。

●単行本の書き下ろしで明かされるかもしれない要素も

 ほかにも、「神」的な存在のように描かれていた謎の少女「ツクヨミ」は(アクアの最期の夢に出てきたものの)正体がはっきりとは分からないままだったり、最終回でアイドルユニット「B小町」に誰なのかわからない3人目のメンバーが加入していたりすることに関して、描写が足りていない、もしくは「打ち切り」のような印象さえを抱く人もいます。

 それらの謎や未回収にも思える伏線は、12月18日発売予定の単行本最終16巻にある、「【とある真相】が明らかになる」という24ページの描き下ろし追加エピソードでフォローがあるかもしれません。

 それでも、少なくともマンガでは、アクアが死ぬ、星野ルビーが(他のキャラクターも)その死の悲しみを乗り越えていく……という終わり方がくつがえることはないでしょう。

 なお、原作者の赤坂アカ先生は集英社オンラインのインタビュー記事で、「エンディングに関しては想定通りに進みました」と語っており、何かの外圧が働いて現状の最終回になったわけではないことははっきりとしています。

【画像】え…っ? こんな「超イケメン」がヤバいファンに? こちらが実写『【推しの子】』で「星野アイ殺害犯」を演じる俳優です

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