【ネタバレ注意】原典へのリスペクト? 『ジークアクス』の「不可解な名称変更」とは
2025年1月17日、劇場版『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』が公開されました。新旧ファンが大興奮する衝撃的な内容のなかには、思わず考察したくなるような「気になる要素」がいくつもありました。
新旧ファンのあいだで話題騒然『ジークアクス』でどうしても気になる部分が!
「ガンダム」シリーズ最新作、劇場先行版『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス) -Beginning-』を遅ればせながら鑑賞してきました。あえて多くは語りませんが、スタジオカラーとサンライズのタッグによる「ガンダム」は、従来のファンに衝撃を与える内容で、まだ観ていない方に、ぜひ鑑賞をおすすめしたい作品でした。
そして余韻に浸りながらパンフレットを眺めていたところ、気になる部分がいくつもあったので、そのうちのひとつについて深掘りしてみたいと思います。
※以下、劇場先行版『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』のネタバレにつながる記述が含まれます。閲覧にはご注意ください。
●知る人ぞ知る「幻の機体」の名前が!
『ジークアクス』では、TVアニメ『機動戦士ガンダム』(ファーストガンダム)でもおなじみのニュータイプパイロット「シャリア・ブル」の活躍シーンが描かれています。彼がファーストガンダム時に搭乗した機体はモビルアーマー(MA)「ブラウ・ブロ」で、『ジークアクス』のなかでもブラウ・ブロと思われる機体に搭乗していました。
ですが『ジークアクス』のパンフレットによると、あの機体はブラウ・ブロではなく「キケロガ」の名称に変わっていたのです。
コアなガンダムファンなら「キケロガ」の名に聞き覚えがあるかもしれません。「キケロガ」とは富野由悠季監督が書き記した、初代『機動戦士ガンダム』全52話分(実際は全43話放送)のシノプシス(通称、トミノメモ)に登場する幻の機体で、シャアが乗る機体とされていたものです。
しかし『ジークアクス』でシャアは、例の「赤いガンダム」に乗ることになります。そこで浮いた「キケロガ」は、シャアからシャリア・ブルに譲られたという見方はできるでしょう。
もうひとつ気になるのが「キケロガ」の見た目です。トミノメモに登場した「キケロガ」は、のちに発売されたゲームなどでビジュアルが発表されています。頭部はゲルググ風、胴体部はジオング風という、れっきとしたモビルスーツ(MS)として描かれていました。
それなのに『ジークアクス』の「キケロガ」は、MAの「ブラウ・ブロ」とほぼ同じビジュアルです(パンフレットによるとサイズは約半分に小型化)。これは何を意味するのでしょうか。
実は「機動戦士ガンダム 記録全集5」(日本サンライズ)にて明かされたトミノメモの「キケロガ」の項には、「ブラウ・ブロ的メカ」という注釈がありました。(余談ですがトミノメモには、シャリア・ブルの搭乗機は「ゲルググ」と書かれています)。
もしかすると「ジークアクス」では、トミノメモに書かれた「ブラウ・ブロ的メカ」という表現を重視し、それを忠実に表現した結果、「キケロガ」としてすでに公開されていたジオング風MSではなく、あえてMAのブラウ・ブロと同様のビジュアルにしたのかもしれません。
『ジークアクス』という作品全体から見れば機体の名称など些細な点に過ぎず、考えすぎかもしれませんが、個人的には初代『ガンダム』のシノプシスや、富野由悠季監督に対するリスペクトが感じられるような変更点に思えました。
(大那イブキ)